Core Concepts
高脂肪食摂取により視床下部に動員される骨髄由来ミエロイド細胞のうち、CXCR3を発現する細胞集団が、高脂肪食誘導性の体重増加と代謝異常に対して保護的な役割を果たす。
Abstract
本研究では、高脂肪食誘導性肥満における視床下部の免疫細胞動態を明らかにした。
まず、視床下部の常在性ミクログリアと動員された骨髄由来ミエロイド細胞の遺伝子発現プロファイルを解析した。その結果、高脂肪食摂取により、常在性ミクログリアでは軽微な変化しか見られないのに対し、動員された骨髄由来ミエロイド細胞では大幅な遺伝子発現変化が認められた。特に、ケモカイン関連遺伝子の発現変化が顕著であった。
次に、動員された骨髄由来ミエロイド細胞でCXCR3の発現が高いことに着目し、CXCR3を標的とした介入実験を行った。CXCL10の中和やCXCR3の阻害により、CXCR3発現細胞の視床下部への動員が抑制された。その結果、特に雌マウスにおいて、体重増加の悪化、耐糖能の低下、レプチン上昇などの代謝異常が観察された。
以上より、高脂肪食摂取により視床下部に動員される骨髄由来ミエロイド細胞のうち、CXCR3を発現する細胞集団が、高脂肪食誘導性の体重増加と代謝異常に対して保護的に機能することが明らかになった。これは、視床下部の炎症性ミクログリア反応に関する従来の概念を覆す新しい知見である。
Stats
高脂肪食摂取により、視床下部のCCR2陽性細胞が約10%を占めるようになる。
視床下部のCX3CR1陽性細胞では、高脂肪食摂取による遺伝子発現変化は軽微であるのに対し、CCR2陽性細胞では大幅な変化が認められる。
CCR2陽性細胞ではCXCR3の発現が高く、CXCL10/IFN-γ関連遺伝子の発現も亢進している。
Quotes
"高脂肪食摂取により視床下部に動員される骨髄由来ミエロイド細胞のうち、CXCR3を発現する細胞集団が、高脂肪食誘導性の体重増加と代謝異常に対して保護的に機能する。"
"これは、視床下部の炎症性ミクログリア反応に関する従来の概念を覆す新しい知見である。"