Core Concepts
PI3Kによるリン酸化を介してHSCBがTACC3を分解し、FOG1の核内移行を促進することで、赤血球造血とメガカリオポイエシスを制御する。
Abstract
本研究では、赤血球造血とメガカリオポイエシスの制御機構について新たな知見を提示している。
具体的には以下の通りである:
HSCB (heat shock cognate B)は、赤血球造血細胞(K562細胞)およびヒト臍帯血由来CD34+CD90+造血幹細胞における赤血球造血とメガカリオポイエシスの過程で、FOG1 (friend of GATA 1)の核内移行に不可欠な役割を果たす。
PI3Kによってリン酸化されたHSCBは、TACC3 (transforming acidic coiled-coil containing protein 3)との結合を介してその分解を促進する。TACC3は通常FOG1を細胞質に留めているため、TACC3の分解によりFOG1の核内移行が facilitated される。
PI3Kは赤血球造血とメガカリオポイエシスの両過程で活性化されており、FOG1は両過程の重要な転写因子であることから、本経路は赤血球造血とメガカリオポイエシスの制御に重要な役割を果たしている。
従来知られていたHSCBの鉄-硫黄クラスター輸送機能とは独立した、新たな機能が明らかになった。
Stats
K562細胞およびヒト臍帯血由来CD34+CD90+造血幹細胞を用いた実験結果から、PI3K阻害剤処理によりFOG1の核内移行が抑制されることが示された。
Quotes
"HSCB could be phosphorylated by phosphoinositol-3-kinase (PI3K) to bind with and mediate the proteasomal degradation of transforming acidic coiled-coil containing protein 3 (TACC3), which otherwise detained FOG1 in the cytoplasm, thereby facilitating FOG1 nuclear translocation."