Core Concepts
本論文は、モジュラー・マルチレベル・コンバータの安定性と最適な動的性能を確保するための新しい制御戦略を提案する。分数階フラジィタイプII PIコントローラを使用し、鯨最適化アルゴリズムを用いてパラメータを最適化することで、様々な運転条件下での優れた制御性能を実現する。
Abstract
本論文は、モジュラー・マルチレベル・コンバータ(MMC)の制御に関する新しい手法を提案している。MMCは高信頼性、高出力、低高調波特性を持つ電力変換器として知られているが、多数のサブモジュールと非線形動特性のため、制御が複雑である。
提案手法では、分数階フラジィタイプII PIコントローラを使用し、鯨最適化アルゴリズムを用いてパラメータを最適化する。分数階制御は柔軟性を高め、フラジィ推論システムはシステムの非線形性と不確定性に対処する。
シミュレーション結果から、提案手法は電圧ディスターバンス、入力電圧変動などの条件下でも優れた性能を発揮し、MMCの安定性を確保できることが示された。特に、FOFPI(分数階フラジィタイプII PI)コントローラは、FOPI(分数階PI)コントローラよりも出力電圧の高調波歪みを大幅に低減できることが確認された。
FOFPI コントローラは、過渡状態では比例ゲインを上げて応答を速めつつ、定常状態では積分ゲインを上げて定常偏差を低減するように、運転条件に応じてゲインを適応的に調整する。このような柔軟な制御が、優れた性能を実現している。
提案手法は、MMCだけでなく他の変換器トポロジーにも適用可能であり、モデル予測制御やスライディングモード制御などの手法との比較検討も今後の課題として挙げられる。
Stats
電圧ディスターバンス時のMMC出力電圧の高調波歪み(THD)は、
FOPI制御では0.33、FOFPI制御では0.28と大幅に改善された。
Quotes
"提案するFOFPIコントローラは、運転条件の変化に応じて比例ゲインと積分ゲインを適応的に調整することで、FOPI制御よりも優れた性能を発揮する。"
"シミュレーション結果から、提案手法はMMCの安定性を確保し、様々な運転条件下で優れた制御性能を実現できることが示された。"