米国におけるクッシング症候群の有病率は予想以上に高い可能性がある

Core Concepts

クッシング症候群の有病率は米国では従来の推定よりも高く、特に副腎性クッシング症候群が多く、典型的な身体所見を欠くことが多い。

Abstract

本研究は、ウィスコンシン州の単一施設における新規クッシング症候群患者の実態を調査したものである。

従来の欧州の疫学研究では、クッシング症候群の発症率は100万人あたり1-3人と推定されていたが、本研究では100万人あたり7.2人と算出された。
さらに、ウィスコンシン州全体では年間14-15人/100万人と推定された。
疾患の内訳は、副腎性クッシング症候群が60%、下垂体性クッシング病が36.8%、異所性ACTH産生腫瘍が3.2%であった。
副腎性クッシング症候群では、典型的な身体所見を呈する患者は44%にとどまった。
これらの結果から、クッシング症候群、特に副腎性クッシング症候群は見逃されている可能性が高く、臨床医は cortisol 過剰状態を考慮する必要があると考えられる。

Stats

クッシング症候群の発症率:

ウィスコンシン州:100万人あたり7.2人
ウィスコンシン州全体:100万人あたり14-15人

疾患内訳:

副腎性クッシング症候群:60%
下垂体性クッシング病:36.8%
異所性ACTH産生腫瘍:3.2%

副腎性クッシング症候群における典型的身体所見の頻度:44%

Quotes

"Cases are absolutely being missed.... Clinicians should realize that cortisol excess is not rare. It may not be common, but it needs to be considered in patients with any constellation of features that are seen in cortisol excess."
"If you screen for Cushing with a dexamethasone suppression test...[i]f you have autonomous secretion by the adrenal, you don't suppress as much.... When you measure 24-hour urinary cortisol, it may be normal. So you're in this in-between [state].... Maybe in Wisconsin they're diagnosing it more. Or, maybe it's just being underdiagnosed in other places."

Key Insights Distilled From

Is Cushing Syndrome More Common in the US Than We Think?

by Miriam E. Tu... at www.medscape.com 06-07-2024

https://www.medscape.com/viewarticle/cushing-syndrome-more-common-us-than-we-think-2024a1000ar4

Deeper Inquiries

クッシング症候群の有病率の地域差はどのような要因によるものか検討する必要がある。

米国のウィスコンシン州でのクッシング症候群の有病率が、これまで考えられていたよりもかなり高い可能性があることが示唆されています。これは、欧州の人口ベースの研究での推定値（1〜3例/百万患者年）とは対照的であり、ウィスコンシン大学ミルウォーキー校の研究者たちは、ウィスコンシン州におけるCSの発生率が最低でも100万患者年あたり7.2例であると推定しています。また、これまでのすべての研究とは異なり、副腎性クッシング症候群が下垂体ACTH分泌腫瘍（クッシング病）よりも一般的であり、副腎性クッシング症候群の患者のうち半数未満が体重増加、丸い顔、過剰な毛の成長、ストレッチマークなどの典型的な過剰コルチゾールの身体的特徴を示していたことが明らかになりました。

典型的な身体所見を欠く副腎性クッシング症候群の長期予後はどのようなものか明らかにする必要がある。

副腎性クッシング症候群の患者のうち、典型的な身体所見を欠く人が44％もいることから、このグループの長期予後についてはさらなる研究が必要です。これらの患者は、より軽度の生化学的な異常を示す可能性があり、そのために症状が目立たないことがあります。しかし、軽度の高コルチゾール血症でも、骨粗鬆症、筋力低下、グルコース耐性、虚弱性などの長期的な損傷効果がある可能性があるため、このグループの予後を理解することは重要です。

クッシング症候群の早期発見と適切な治療が患者の予後改善につながるか検証する必要がある。

クッシング症候群の早期発見と適切な治療が患者の予後改善につながるかどうかを検証することは重要です。研究では、副腎性クッシング症候群の患者のうち、典型的な身体所見を欠く人が多いことが示されています。そのため、より軽度の症状でもクッシング症候群を検出することが重要であり、早期発見によって骨粗鬆症、筋力低下、グルコース耐性、虚弱性などの長期的な損傷を防ぐことができます。適切な治療によって、患者の生活の質を向上させることができるため、早期発見と適切な治療の重要性を検証する研究が必要です。