Core Concepts
糖尿病性神経障害の発症率が増加しており、従来の診断方法では不十分であることが明らかになってきた。神経障害には機能低下と過剰活性の2つの側面があり、適切な診断と治療が重要である。
Abstract
本文は、糖尿病性神経障害に関する新しい知見について述べている。
糖尿病性神経障害の発症率が増加しており、従来の診断方法では不十分であることが指摘されている。
神経障害には、大径・小径神経線維の減少による機能低下と、神経線維の過剰活性化による痛覚過敏の2つの側面がある。これらは従来考えられていたような単純な区別ではなく、両者が混在する場合もある。
機能低下の診断は主に臨床症状に基づくが、電気生理学的検査では小径線維障害を見逃す可能性がある。一方、過剰活性の診断は臨床症状に基づくが、電気生理学的検査や生検では正常な場合もある。
適切な診断と治療のためには、患者の表現型を詳細に把握することが重要である。痛覚センターなどの専門施設への紹介が推奨される。
糖尿病性神経障害の発症には、慢性高血糖による微小血管障害のほか、代謝性因子、心血管疾患、喫煙などの要因が関与する。早期からの予防と管理が重要である。
Stats
1990年から2021年にかけて、世界の糖尿病性神経障害患者数は3倍以上に増加し、2021年には2,060万人に達した。
糖尿病性神経障害患者の25-30%に神経障害性疼痛が認められる。
DCCT試験の26年間の観察期間中、神経障害性疼痛の有病率は8.5%から19.8%に、ミシガン神経障害スクリーニング検査スコア2以上の割合は22.9%から43.5%に増加した。
Quotes
"モノフィラメントによる検査は過剰に重視されてきた。大径線維と小径線維の障害は単純に区別できるわけではない。両者の障害が混在することがある。"
"神経障害には機能低下と過剰活性の2つの側面がある。過剰活性は大径線維からも生じる可能性がある。"
"神経障害性疼痛の診断と治療のためには、患者の表現型を詳細に把握し、痛覚センターなどの専門施設に紹介することが重要である。"