Core Concepts
本研究では、任意の解像度と重複を持つCT画像の自己教師あり型スライス方向解像度向上手法を提案する。提案手法は、高解像度の軸位断面画像を用いて低解像度の冠状断面および矢状断面画像を正確にシミュレーションすることで、スライス方向の解像度を向上させる。
Abstract
本研究では、CTスキャン画像の解像度向上を目的とした自己教師あり型手法を提案している。CTスキャン画像では、スライス方向の解像度が面内解像度に比べて低く、さらにスライス間に重複が生じることがある。これらの問題は診断の精度を低下させる可能性がある。
提案手法では、高解像度の軸位断面画像を用いて、低解像度かつ重複のある冠状断面および矢状断面画像をシミュレーションする。具体的には、軸位断面画像に対して垂直方向と水平方向の縮小・拡大処理を行い、スライス方向の解像度と重複を再現する。このようにして生成した擬似的な低解像度画像を入力とし、高解像度の軸位断面画像を出力とする畳み込みニューラルネットワークを学習する。
学習後のネットワークを用いて、実際の低解像度かつ重複のある冠状断面および矢状断面画像の解像度を向上させることができる。実験の結果、提案手法は既存の教師あり型手法と同等以上の性能を示し、特に解像度と重複の組み合わせが複雑な場合に優れた性能を発揮することが確認された。また、高解像度の参照画像が得られない実際のCTデータに対しても、視覚的に解像度が向上していることが示された。
このように、提案手法は任意の解像度と重複を持つCTスキャン画像の自己教師あり型スライス方向解像度向上に有効であり、臨床現場での活用が期待される。
Stats
CTスキャン画像の面内解像度は通常0.74mm~0.97mmであるのに対し、スライス方向の解像度は0.625mmと低い。
提案手法を適用することで、スライス方向の解像度が2.5mm~6.25mmの範囲で、PSNR値が29.91dB~51.94dBまで向上した。
実際のCTデータ(スライス厚3mm、重複1mm)に適用した結果、視覚的に解像度が向上した。
Quotes
"CTは非侵襲的な医用画像診断法として広く用いられているが、画像解像度が不十分な場合がある。"
"CTスキャン画像では、スライス方向の解像度が面内解像度に比べて低く、さらにスライス間に重複が生じることがある。これらの問題は診断の精度を低下させる可能性がある。"
"提案手法は任意の解像度と重複を持つCTスキャン画像の自己教師あり型スライス方向解像度向上に有効であり、臨床現場での活用が期待される。"