Core Concepts
T1加重MRI画像からT2加重MRI画像を合成する手法を開発し、クラスタリングとPix2Pixの手法を比較した。クラスタリングに基づく手法は平均二乗誤差が低く、Pix2Pixの手法は脳腫瘍領域の分割に有効であることを示した。
Abstract
本研究では、自動脳腫瘍分割手法に必要な複数のMRI画像モダリティ(T1加重、T2加重、T1造影、FLAIR)のうち、1つのモダリティが欠落している場合に、欠落しているモダリティを合成する手法を提案している。具体的には、T1加重画像からT2加重画像を合成する手法を開発し、評価を行っている。
提案手法には以下の2つがある:
クラスタリングに基づく手法(BrainClustering)
T1加重画像と対応するT2加重画像のペアを用いて、組織ごとの色調変換テーブルを学習する
新しいT1加重画像に対して、学習した変換テーブルを適用してT2加重画像を合成する
Pix2Pixに基づく手法
条件付きGANを用いて、T1加重画像からT2加重画像への変換を学習する
学習した変換器を用いて、新しいT1加重画像からT2加重画像を合成する
評価では、合成画像の平均二乗誤差(MSE)と、合成画像を用いた脳腫瘍分割の精度(Dice係数、Hausdorff距離)を検討した。その結果、クラスタリングに基づく手法は平均MSEが低く、Pix2Pixの手法は脳腫瘍領域の分割精度が高いことが示された。
本研究は、MRI画像の一部が欠落している場合でも、残りのモダリティから欠落モダリティを合成し、自動分割手法の精度を維持できることを示した意義深い研究である。
Stats
T1加重画像の最小値と最大値の差を用いてT2加重画像を逆変換する手法のMSEは0.04程度である。
クラスタリングに基づく手法のMSEは脳領域で0.04、腫瘍領域で0.03程度である。
Pix2Pixの手法のMSEは脳領域で0.02、腫瘍領域で0.02程度である。
Quotes
"T1加重画像からT2加重画像を合成することは原理的に可能である。"
"合成したT2加重画像を用いた場合でも、脳腫瘍の分割精度は高く維持できる。"