Core Concepts
2024年ASCO年次総会では、乳がん治療における新しいデータが発表される予定です。CDK4/6阻害薬の使用方法、化学療法の適応判断、バイオマーカーの活用など、臨床実践に大きな影響を与える可能性のある研究成果が注目されています。
Abstract
本記事は、2024年ASCO年次総会における乳がん研究の最新動向について、アレクサンドラ・トーマス医師とバージニア・カクラマニ医師の対談形式で紹介しています。
主なトピックは以下の通りです:
postMONARCH試験:CDK4/6阻害薬を順次使用する治療戦略の有効性が検討される。CDK4/6阻害薬の切り替えが有効か、同一薬剤の継続使用が良いかが明らかになる。
RxPONDER試験:化学療法の適応判断にAMHレベルが有用かどうかが検討される。閉経前患者の化学療法適応を判断する新しい指標となる可能性がある。
循環腫瘍DNAの検出:adjuvant settingでの有用性が検討される。将来的な治療方針決定への活用が期待される。
人工知能を用いた組織学的予後予測:安価で広く利用可能な予後予測ツールの開発につながる可能性がある。
DESTINY-Breast06試験:HER2低発現/ER陽性乳がんに対するT-DXdの有効性が検討される。HER2発現レベルに応じた最適なADC選択が課題となる。
A-BRAVE試験:術後補助療法としてのavelumabの有効性が検討される。腫瘍消失後の免疫療法の意義が明らかになる。
PATRICIA cohort (SOLT-1303試験):HER2陽性・ルミナル型転移乳がんに対するpalbociclib、トラスツズマブ、内分泌療法の有効性が検討される。HER2陽性乳がんの治療選択肢の拡大が期待される。
低ER陽性乳がんに対する内分泌療法の有効性:1-10%ER陽性症例での内分泌療法の意義が検討される。