Core Concepts
1990年から2019年にかけて、65歳以上の1型糖尿病患者の死亡率と障害調整生存年数(DALY)が大幅に低下した。特に女性と高社会経済的地域の患者で改善が見られた。
Abstract
本研究は、1990年から2019年にかけての21地域204か国・地域の65歳以上の1型糖尿病患者を対象とした人口ベースの調査研究である。
主な知見は以下の通り:
1型糖尿病患者の65歳以上人口は1990年の130万人から2019年の370万人へと180%増加した。
全1型糖尿病患者に占める65歳以上の割合は1990年の12%から2019年の17%へと増加傾向にある。
65歳以上の1型糖尿病患者の年齢調整死亡率は1990年の4.7/10万人から2019年の3.5/10万人へと25%減少した。
男女ともに65歳以上の1型糖尿病有病率が上昇したが、男性の増加率が女性より高かった(年平均増加率1.00% vs 0.74%)。
65歳以上の全年齢層で1型糖尿病有病率が3倍以上増加し、90-94歳と95歳以上では5-6倍の増加が見られた。
21の世界地域すべてで65歳以上の1型糖尿病有病率は減少しなかった。
65歳以上の1型糖尿病患者のDALYに最も影響を与えた3つの主要リスク因子は、高空腹時血糖値、低温、高温であった。
本研究結果は、医療の進歩により1型糖尿病が高齢者の寿命低下の要因ではなくなってきていることを示唆している。一方で、高齢1型糖尿病患者の血糖管理が大きな課題として残されており、この年齢層に特化したガイドラインの必要性が指摘されている。
Stats
1990年の1型糖尿病患者の65歳以上人口は130万人だった。
2019年の1型糖尿病患者の65歳以上人口は370万人に増加した。
1990年の1型糖尿病患者の年齢調整死亡率は4.7/10万人だった。
2019年の1型糖尿病患者の年齢調整死亡率は3.5/10万人に減少した。
2019年の1型糖尿病患者の高空腹時血糖値によるDALYは103/10万人だった。
2019年の1型糖尿病患者の低温によるDALYは3/10万人だった。
2019年の1型糖尿病患者の高温によるDALYは1/10万人だった。
Quotes
「1型糖尿病は、医療の改善により、もはや寿命低下の要因ではなくなってきている」
「高齢1型糖尿病患者の高空腹時血糖値管理が大きな課題であり、この年齢層に特化したガイドラインが必要である」