スクリーニング試験における癌ステージと死亡率エンドポイントの関係

Core Concepts

肺がんと卵巣がんのスクリーニング試験では、がん特異的死亡率の代替として進行期がんの発生率を使用できる可能性があるが、乳がん、大腸がん、前立腺がんのスクリーニング試験では適切ではない。

Abstract

本研究は、がんスクリーニング試験におけるエンドポイントとして、がん特異的死亡率と進行期がんの発生率を比較した。
全体としては、がんスクリーニングの効果に関して、がん特異的死亡率と進行期がんの発生率の間には一定の相関が見られた。しかし、がんの種類によって相関の強さが大きく異なることが明らかになった。
具体的には、卵巣がんと肺がんのスクリーニング試験では、両エンドポイントの相関が非常に強かった。一方、乳がん、大腸がん、前立腺がんのスクリーニング試験では相関が弱かった。
したがって、多種類のがんを対象とした早期発見検査の評価においては、進行期がんの発生率をエンドポイントとして使用するのは適切ではない可能性が示された。がん特異的死亡率がより信頼性の高いエンドポイントであると考えられる。

Stats

スクリーニング試験全体では、5試験(12%)で進行期がんの発生率とがん特異的死亡率の両方が減少した。
24試験(59%)では両方とも減少しなかった。
8試験(20%)では進行期がんの発生率のみ減少し、4試験(10%)では逆の結果だった。

Quotes

"肺がんと卵巣がんのスクリーニング試験では、進行期がんの発生率ががん特異的死亡率の代替エンドポイントとして適切である可能性がある。"
"乳がん、大腸がん、前立腺がんのスクリーニング試験では、進行期がんの発生率はがん特異的死亡率の代替エンドポイントとして適切ではない。"

Key Insights Distilled From

Cancer Stage vs Mortality Endpoints in Screening Trials?

by Megan Brooks at www.medscape.com 04-18-2024

https://www.medscape.com/viewarticle/cancer-stage-vs-mortality-endpoints-screening-trials-whats-2024a10007id

Deeper Inquiries

多種類のがんを対象とした早期発見検査の評価において、がん特異的死亡率以外のどのようなエンドポイントが考えられるだろうか

本研究によると、多種類のがんを対象とした早期発見検査の評価において、がん特異的死亡率以外のエンドポイントとして、遅期がんの発生率が考えられる。特に、肺がんや卵巣がんのスクリーニング試験では、遅期がんの発生率ががん特異的死亡率と同様の結果を提供する可能性があることが示された。しかし、乳がん、大腸がん、前立腺がんのスクリーニング試験では、遅期がんの発生率は適切な代替エンドポイントとはならない可能性がある。

本研究の結果は、がんの種類によって異なる理由は何か

本研究の結果ががんの種類によって異なる理由は、がんの生物学的特性の違いが影響している可能性がある。例えば、卵巣がんや肺がんの場合、遅期がんの発生率とがん特異的死亡率の間に強い相関が見られたが、乳がんや大腸がん、前立腺がんでは相関が弱かったり逆の結果が見られたりした。これは、各がんの生物学的特性や進行の仕方によって、スクリーニングの効果が異なることを示唆している可能性がある。

がんの生物学的特性の違いが影響しているのだろうか

がん検診の有効性評価において、がん特異的死亡率以外のエンドポイントを用いることには倫理的な問題点が存在する。例えば、遅期がんの発生率をエンドポイントとする場合、患者の生活の質や心理的負担、過剰診断や不必要な治療のリスクなどが考慮される必要がある。また、遅期がんの発生率ががん特異的死亡率と同等の情報を提供するかどうか、検討が必要であり、患者の利益とリスクをバランス良く考慮することが重要である。