Core Concepts
神経フィラメントライトタンパク質(Nfl)は、化学療法による末梢神経障害(CIPN)の早期バイオマーカーとなる可能性がある。
Abstract
この研究では、がん患者93人を対象に、パクリタキセル投与後のNfl濃度の変化と神経障害の重症度との関連を調べた。その結果、以下のことが明らかになった:
パクリタキセル投与後、Nfl濃度が有意に上昇し、これは神経軸索変性の指標となる。
投与後のNfl濃度が高い患者ほど、治療終了時および治療終了6-12か月後の神経障害が重症であった。
Nflは化学療法による長期的な神経障害のリスクを早期に予測できる可能性がある。
Nflの定量化は、CIPN発症リスクの高い患者を特定し、投与量の調整などの対策を講じるのに役立つ可能性がある。
今後さらなる研究が必要だが、Nflは化学療法関連神経障害の早期バイオマーカーとして期待されている。早期発見により、理学療法や投与量調整などの対症療法を早期に開始できる可能性がある。
Stats
化学療法開始後、Nfl濃度は有意に上昇した(p<0.001)。
Nfl濃度が高い患者ほど、治療終了時の神経障害スコア(EORTC, TNS)が高かった(p≤0.026, p≤0.00)。
治療終了6-12か月後の神経生理学的検査でも、Nfl濃度が高い患者ほど神経障害が重症であった。
Quotes
「Nflは単回投与後に軸索変性を検出できる」
「Nflの定量化は、神経毒性発症リスクの臨床的有用なマーカーとなる可能性がある」