Core Concepts
子宮内膜がんの治療においては、抗体薬物複合体が新たな治療選択肢として期待されている。特に、HER2を標的とした薬剤トラスツズマブ デルクステカンは、高い奏効率を示しており、NCCN診療ガイドラインにも収載されている。今後、さまざまな抗体薬物複合体の開発が進み、分子標的治療の選択肢が広がることが期待される。
Abstract
本記事では、子宮内膜がんにおける抗体薬物複合体の臨床応用について議論されている。
まず、HER2を標的とした抗体薬物複合体であるトラスツズマブ デルクステカンについて説明されている。DESTINY-PanTumor02試験の結果、再発・難治性の子宮内膜がんに対して58%の奏効率が示されたことから、NCCNガイドラインに収載された。ただし、HER2発現レベルの評価方法や、低発現例への適応など、まだ解決すべき課題も残されている。
次に、他の有望な抗体薬物複合体の開発状況が紹介されている。HER2以外の標的として、FOLR1、TROP-2、B7-H4、CDH6などが注目されており、それぞれ異なる薬剤が開発中である。これらの薬剤は、トラスツズマブ デルクステカンとは異なる薬物動態や毒性プロファイルを持つ可能性があり、組み合わせ療法の検討も期待される。
最後に、抗体薬物複合体の耐性メカニズムや、DNA修復阻害薬との併用療法など、今後の展望についても言及されている。子宮内膜がんの治療においては、抗体薬物複合体の登場により、大きな進展が期待されている。
Stats
DESTINY-PanTumor02試験では、HER2 3+の症例で奏効率が85%、HER2 2+の症例で47.1%と高い奏効率が示された。
子宮内膜癌肉腫を対象としたSTATICE試験では、HER2 1+以上の症例でも高い奏効率が得られた。
Quotes
「58%の奏効率は本当に素晴らしい数字で、それがNCCNガイドラインに収載された理由です。」
「私たちはまだ、HER2低発現の腫瘍にどのような組み合わせ療法が有効かを解明する必要があります。」