Core Concepts
肺X線画像を用いて、COVID-19、肺炎、正常の3つのクラスを高精度に分類する深層学習モデルV-BreathNetを開発した。
Abstract
本研究では、COVID-19やウイルス性肺炎の早期検出を目的とした、肺X線画像の自動異常検出システムについて取り組んでいる。
まず、既存の深層学習モデルであるDenseNet、MobileNetV2、VGG16を用いた転移学習の実験を行った。しかし、これらのモデルは黒白の医療画像に適応できず、過学習の問題が生じた。
そこで、新たに独自のCNNモデルであるV-BreathNetを開発した。V-BreathNetは、少ないパラメータ数ながら96.84%の高い検出精度を達成した。
V-BreathNetの予測過程を可視化するためにGradCAMを用いたサリエンシーマップを生成した。その結果、モデルは肺の縁、不透明領域、心臓領域に着目して分類を行っていることが分かった。一部のCOVID-19症例で誤分類が見られたが、画像の焦点を胸部に合わせることで精度が改善された。
今後は、COVID-19の早期段階の画像データを増やすことで、モデルの汎化性能をさらに向上させることが課題である。本研究の成果は、医療現場での迅速かつ正確な肺疾患の診断に貢献できると期待される。
Stats
正常X線画像は肺野が黒く見え、血管影や横隔膜の輪郭が明瞭である。
COVID-19肺炎では、初期に地すり状陰影が見られ、進行すると肺野全体が白濁する。
肺炎では、地すり状陰影や肺野の白濁が両側性に見られることが多い。
Quotes
"通常のCT検査に比べ、X線検査は安価で迅速に行えるが、解釈が難しい。"
"人工知能を活用することで、医療従事者の負担を軽減し、迅速かつ正確な診断が可能となる。"