Core Concepts
胸部X線を用いた深層学習モデル(AI-CAC)は、潜在的動脈硬化を高い感度で検出し、動脈硬化性心血管疾患のリスクを予測できる。
Abstract
本研究では、460人の一次予防患者の胸部X線と胸部CT検査データを用いて、深層学習アルゴリズムによる冠動脈カルシウムスコア(CAC)の推定モデル(AI-CAC)を開発した。
内部検証コホートでは、AI-CACモデルのCAC>0の検出精度(AUC)が0.90と高く、感度も92%以上と良好であった。外部検証コホートでも、AUCは0.77と良好な精度を示した。
AI-CACが0の患者では、5年間の動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)イベントが1例のみと、高い陰性的中率を示した。一方、AI-CAC>0の患者では、ASCVD発症率が13.5%と有意に高かった。
AI-CACの予後予測能は、ESC心血管リスク分類から独立していた。低/中リスク患者では、AI-CAC=0でも4.5%のASCVDイベントがあったが、高/極高リスク患者ではAI-CAC=0で全くイベントがなかった。
以上より、AI-CACモデルは胸部X線から潜在的動脈硬化を高感度に検出し、ASCVD発症を予測できる可能性が示された。今後の前向き検証が待たれる。
Stats
中央値のAI-CACスコアは35(0-388)であり、28.9%の患者にAI-CACは検出されなかった。
内部検証コホートでのAI-CACモデルのAUCは0.90(95%CI 0.84–0.97)、外部検証コホートでは0.77(95%CI 0.67–0.86)であった。
全体集団(n=540)において、AI-CAC=0の患者では5年間でASCVDイベントが1例のみ発生したのに対し、AI-CAC>0の患者では13.5%がASCVDイベントを発症した(log-rank=0.013)。