Core Concepts
本研究では、実時間再帰学習(RTRL)アルゴリズムと最大相関クライテリオン(MCC)を組み合わせた頑健な四元数再帰型ニューラルネットワーク(QRNN)を開発した。これにより、アウトライヤーを含む3D/4Dデータの実時間処理が可能となる。
Abstract
本研究では、四元数代数を再帰型ニューラルネットワーク(RNN)に組み込むことで、3D/4Dデータの性能と頑健性を向上させている。具体的には、実時間再帰学習(RTRL)アルゴリズムと最大相関クライテリオン(MCC)損失関数を組み合わせた四元数再帰型ニューラルネットワーク(QRNN)を提案している。
QRNNは、四元数代数の性質を活用することで、実数値RNNよりもコンパクトなモデルを構築でき、複雑なパターンをより効果的にキャプチャできる。また、MCC損失関数は二乗平均誤差(MSE)に比べてアウトライヤーに対してより頑健である。
本研究では、一般化HR(GHR)微分法を用いて、QRNNのRTRLアルゴリズムと MCC損失関数の導出を行っている。これにより、四元数代数の構造を最大限に活用した効率的な学習アルゴリズムを実現している。
シミュレーション結果では、肺がん放射線治療における胸部内部マーカーの動きの予測タスクにおいて、提案手法であるQRNN RTRL with MCCが最も優れた性能を示した。特に不規則な呼吸パターンに対する頑健性が高いことが確認された。
Stats
呼吸パターンの予測精度(RMSE)は、全体で1.486 ± 0.004 mm、規則的な呼吸で1.245 ± 0.004 mm、不規則な呼吸で1.683 ± 0.005 mmであった。
正規化RMSE(nRMSE)は、全体で0.3148 ± 0.0007、規則的な呼吸で0.3115 ± 0.0006、不規則な呼吸で0.3392 ± 0.0008であった。
平均絶対誤差(MAE)は、全体で0.752 ± 0.007 mm、規則的な呼吸で0.617 ± 0.005 mm、不規則な呼吸で0.882 ± 0.009 mmであった。
ジッター(振動)は、全体で0.7083 ± 0.0013 mm、規則的な呼吸で0.6217 ± 0.0012 mm、不規則な呼吸で0.7741 ± 0.0014 mmであった。