Core Concepts
情報の冗長性を故障耐性の観点から新しい尺度Iftを提案し、その数学的性質を示す。
Abstract
本論文では、情報の冗長性を故障耐性の観点から新しく定義した尺度Iftを提案している。
まず、情報の冗長性と故障耐性の2つの概念について説明する。情報理論の分野では、複数の変数間の共通情報を表す尺度として部分情報分解(PID)が提案されている。一方、故障耐性の分野では、システムの冗長性が故障耐性の原理として重要視されている。
本論文では、これら2つの観点を統合し、故障に対して頑健な情報の冗長性を表すIft尺度を定義する。Iftは、情報源の故障を想定した「故障可能なシステム」を考え、そのような状況でも最小限の情報が保証されるよう設計されている。
Iftの数学的性質を詳しく分析し、PIDの公理を満たすことを示す。特に興味深いのは、PIDの格子構造とIftの定義に登場する故障可能なシステムの集合の間に逆順序対応があることを明らかにした点である。これにより、Iftの単調性が自然に導かれる。
最後に、Iftを用いて故障耐性の観点から情報の冗長性を定量化する方法を示す。n個の情報源から構成される系において、最大ℓ個の故障に耐えられる情報量をIftで表現できることを示している。
Stats
n個の情報源から構成される系において、最大ℓ個の故障に耐えられる情報量は以下のように表される:
0 = Ift(αn) ≤Ift(αn−1) ≤...≤Ift(α1) ≤Ift(α0) = I(T ; X)
ここで、αℓはn-ℓ個の情報源からなる集合の集合を表す。