Core Concepts
Gaussian消去法(GE)における部分ピボット(GEPP)と完全ピボット(GECP)の成長係数の挙動を調べ、同一の線形システムに対する両者の相互作用を明らかにする。特に、GEPPとGECPの成長係数に大きな差がある場合の局所的挙動を探る。
Abstract
本論文では、Gaussian消去法(GE)における部分ピボット(GEPP)と完全ピボット(GECP)の成長係数の挙動を調べている。
まず、小さなサイズのn(n=2,3,4)について、GEPPとGECPの成長係数の関係を調べている。GEPPとGECPの成長係数は、多くの場合、ほぼ等しくなることが分かった。しかし、稀に大きな差が生じる例も存在する。
次に、直交行列に着目し、Barlow and Zhaによって研究された特殊な直交行列Qnを詳しく分析している。Qnは、GEPPの成長係数が指数関数的に大きくなることを示す。これにより、直交行列Opnq上のGEPPの最悪ケースの成長係数を改善した上界を得ている。
さらに、GEPPとGECPの成長係数の差が大きい線形システムの局所的挙動を調べている。GEPPの初期成長が小さい場合、局所的にはGEPPの成長が安定し、GECPの初期成長に収束する。一方、GEPPの初期成長が大きい場合、局所的にはGECPの初期成長に収束する。
以上のように、本論文では、GEPPとGECPの成長係数の相互作用を詳細に分析し、特に直交行列に着目した新しい知見を得ている。
Stats
Qnの最終GEPP成長係数は2^(n-1)√3(1+o(1))
Qnの最終GECP成長係数は√2(1+o(1))
直交行列Opnq上のGEPPの最悪ケースの成長係数は c2^(n-1)(1+o(1))、ここで c∈[1/√3,1)
Quotes
"GEPPの成長は指数関数的に大きくなる可能性があるが、実際にはそれほど大きくならない。"
"GECPの最悪ケースの上界は未だ解明されていない。"
"直交行列は潜在的に大きな成長を生み出す可能性がある。"