Core Concepts
本論文では、Schr¨odingerization手法を用いて、不適切問題を安定に解くための簡単で安定な計算手法を提案する。この手法は、元の不適切問題を1次元高次元の Schr¨odinger型方程式に写像し、時間逆転可能なハミルトン系として解くことで、前進・後退双方向の安定な計算を実現する。元の変数は、適切に選択された拡張次元上の情報から復元できる。
Abstract
本論文では、不適切問題を安定に解くための一般的な計算手法を提案している。具体的には以下の通りである:
不適切問題を記述する線形偏微分方程式をSchr¨odingerization手法により1次元高次元のSchr¨odinger型方程式に写像する。この写像により、元の不適切問題は時間逆転可能なハミルトン系に変換される。
Schr¨odinger型方程式は安定に解くことができるため、前進・後退双方向の計算が可能となる。
元の変数は、適切に選択された拡張次元上の情報から復元することができる。
具体例として、逆熱方程式と虚数波速を持つ線形対流方程式を取り上げ、誤差解析を行い、数値実験により検証している。
提案手法は古典コンピュータだけでなく量子コンピュータでも実装可能であり、量子アルゴリズムも示している。
全体として、不適切問題に対する一般的で安定な数値解法を提案しており、物理応用分野での重要性が高い。
Stats
不適切問題の特徴は、(i)解が必ずしも存在しない、(ii)解が一意ではない、(iii)解が入力データに連続的に依存しない、という3点である。
逆熱方程式の解は、フーリエスペクトルが有限区間に収まる最終データに対してのみ存在し、一意となる。
虚数波速を持つ線形対流方程式も不安定な問題である。
Quotes
"通常、数値誤差は指数関数的に増大するため、空間的な注意を払わない限り、数値計算は困難となる。"
"不適切問題は、流体力学の不安定性、プラズマ不安定性、負の屈折率を持つMaxwell方程式など、多くの物理応用分野で現れる。"