Core Concepts
本研究では、波動方程式の離散化から得られる全体システムに対して、絶対値ブロックα-循環前処理子を提案する。提案する前処理子は対称正定値であり、MINRESソルバーと組み合わせることができる。理論的に、適切なαを選択することで、前処理付きMINRESソルバーの収束率がマトリックスサイズに依存しない線形収束を達成することを示す。
Abstract
本研究では、波動方程式の数値解法に関する新しい前処理手法を提案している。
まず、波動方程式の離散化から得られる全体システムを対称化する手法を説明する。次に、従来提案されていたブロックα-循環前処理子は非対称であるため、MINRESソルバーと直接組み合わせることができないことを指摘する。
そこで、本研究では、絶対値ブロックα-循環前処理子を提案する。この前処理子は対称正定値であり、MINRESソルバーと組み合わせることができる。理論的な収束解析により、適切なαを選択することで、前処理付きMINRESソルバーの収束率がマトリックスサイズに依存しない線形収束を達成できることを示す。
また、提案手法の実装方法についても説明する。前処理子の適用には高速フーリエ変換を利用できるため、効率的な計算が可能である。
数値実験の結果から、提案手法が従来手法よりも優れた性能を示すことが確認された。本研究は、波動方程式の並列時間解法分野における重要な貢献となる。
Stats
波動方程式の離散化から得られる全体システムのマトリックスサイズはmn×mn。
ここで、mは空間格子点数、nは時間ステップ数である。