Core Concepts
50年近く新しい結果がなかった非素数冪アルファベットに対する完全符号の分類問題について、ディオファントス方程式の解法を用いることで、170以上の新しい値のqに対して完全2誤り訂正符号の非存在を示した。
Abstract
本論文では、非素数冪アルファベットに対する完全符号の分類問題に取り組んでいる。完全符号とは、ハミング界限が等号で成り立つ誤り訂正符号のことである。
まず、完全2誤り訂正符号の存在条件をディオファントス方程式に帰着させた。この方程式は一般化されたラマヌジャン・ナゲル方程式の形をしており、計算数論の手法を用いて解くことができる。
具体的には、まず方程式の解を求めるアルゴリズムを提案した。このアルゴリズムでは、モーデル曲線上の整数点の計算が鍵となる。計算量の観点から、いくつかの最適化手法を導入している。
次に、得られた解がそもそも完全符号を与えるかどうかを、ロイドの定理を用いて判定した。その結果、q≤200かつq≠94,166の場合、およびq≤600でqの素因数が{2,3,5,7,11}に含まれる場合に、完全2誤り訂正符号は存在しないことを示した。
さらに、一般のqに対しても、完全2誤り訂正符号は高々有限個しか存在し得ないことを証明した。これは、非素数冪アルファベットに対する完全符号の完全な分類に向けた重要な一歩である。
Stats
完全2誤り訂正符号の存在条件は、ディオファントス方程式1 + n(q-1) + n(n-1)/2(q-1)^2 = qn で表される。
上記方程式を変形すると、x^2 + Dq = 8qn1 ... qnk が得られる。ここで、x = 2n(q-1) + 3 - q、Dq = 8 - (q-3)^2である。
この一般化されたラマヌジャン・ナゲル方程式を解くことで、q≤200かつq≠94,166の場合、およびq≤600でqの素因数が{2,3,5,7,11}に含まれる場合の完全2誤り訂正符号の非存在を示した。