Core Concepts
本研究では、高強度かつ高延性を示す二相鋼の最適な微細組織を提案するための逆解析フレームワークを開発した。このフレームワークは、微細組織を生成するGenerative Adversarial Network (GAN)と、強度と延性を予測するConvolutional Neural Network (CNN)を組み合わせたものである。
Abstract
本研究では、二相鋼の最適な微細組織を提案するための逆解析フレームワークを開発した。このフレームワークは以下の2つの特徴を持つ。
事前に目標とする機械的特性を指定せずに、強度と延性のトレードオフを考慮して最適な微細組織を提案できる。
4つの変形モード(引張x方向、引張y方向、せん断x方向、せん断y方向)を同時に考慮して微細組織を提案できる。これにより、従来手法と比べて計算速度が大幅に向上する。
まず、位相場法を用いて二相鋼の微細組織を生成し、それをGANの学習データとした。次に、転位結晶塑性有限要素法を用いて微細組織の最大応力と限界ひずみを計算し、CNNの学習データとした。
逆解析では、GANとCNNを組み合わせてランダムサーチを行い、最大応力と限界ひずみの積が最大となる微細組織と変形モードを提案した。提案された微細組織は、マルテンサイトの粒径が微細であり、実験結果と整合的であった。
Stats
提案された微細組織の最大応力は260 MPa、限界ひずみは0.427、最大応力と限界ひずみの積は0.508である。
CNNによる予測値との相対誤差は、最大応力が0.76%、限界ひずみが0.25%、最大応力と限界ひずみの積が1.69%であった。