Core Concepts
次のバスケット推薦では、これまで正確性の最適化に焦点が当てられてきたが、アイテムの公平性や多様性などの正確性以外の指標の最適化は十分に検討されていない。本研究では、正確性と正確性以外の指標のバランスを取るための「ショートカット」戦略を提案し、その有効性を検証する。
Abstract
本研究では、次のバスケット推薦(NBR)における正確性と正確性以外の指標(公平性、多様性)のバランスを取るための「ショートカット」戦略を提案している。
まず、リピート(過去に購入したアイテム)とエクスプロレーション(初めて購入するアイテム)の推薦では大きな性能差があることが分かっている。リピート推薦は容易だが、エクスプロレーション推薦は難しい。
この知見に基づき、本研究では、正確性を確保するためにリピートアイテムを推薦し、正確性以外の指標を改善するためにエクスプロレーションアイテムを推薦するという「ショートカット」戦略を提案する。具体的には、リピート推薦モデルとエクスプロレーション推薦モデルを別々に設計し、それらの出力を組み合わせて最終的な推薦バスケットを生成するTRExフレームワークを提案している。
実験の結果、TRExは正確性を維持しつつ、公平性や多様性などの正確性以外の指標においても優れた性能を示すことが分かった。ただし、正確性と強く関連する指標(logRUR)については、この「ショートカット」戦略を活用するのは難しいことも明らかになった。
最後に、本研究は現在の評価パラダイムに疑問を投げかけている。「ショートカット」戦略を活用することで正確性以外の指標が改善されるのは、本当に望ましい結果なのか、それとも評価方法に問題があるのかについて議論している。
Stats
リピートアイテムの推薦は容易だが、エクスプロレーションアイテムの推薦は難しい。
リピートアイテムが正確性の大部分を占めるのに対し、エクスプロレーションアイテムはユーザの知覚された有用性にほとんど寄与しない。
Quotes
「リピートアイテムの推薦は容易だが、エクスプロレーションアイテムの推薦は難しい。」
「リピートアイテムが正確性の大部分を占めるのに対し、エクスプロレーションアイテムはユーザの知覚された有用性にほとんど寄与しない。」