Core Concepts
本論文は、深層残差ニューラルネットワーク(ResNet)を用いた適応制御系の設計と解析を提供する。リアプノフ関数に基づいて、ResNetの各層の重み係数の適応則を導出し、追従誤差の漸近収束を保証する。
Abstract
本論文では、構造化されていない不確定性を補償するためのツールとして注目されている深層ニューラルネットワーク(DNN)ベースの制御手法について検討している。従来のDNNベースの適応制御手法では、オフラインでシステム同定を行い、得られたDNNモデルを静的な補償器として用いていた。しかし、このアプローチでは、実際の不確定性とトレーニングデータとのミスマッチが問題となる。
そこで本論文では、リアプノフ関数に基づいて、DNNの各層の重み係数を実時間で適応的に更新する手法を提案する。特に、深層残差ニューラルネットワーク(ResNet)を用いた適応制御系の設計と解析を行う。ResNetは、従来のDNNに比べて勾配消失問題を回避できるため、より優れた関数近似性能を示す。しかし、ResNetの構造的特徴から、従来のDNNに対して導出された適応則を直接適用することはできない。
本論文では、ResNetの構造を考慮した新しい適応則を導出する。具体的には、ResNetをビルディングブロックの組み合わせとして表現し、各ブロックのグラジエントを用いてリアプノフ関数に基づいて適応則を設計する。この手法により、ResNetの各層の重み係数を実時間で適応的に更新できる。さらに、非滑らかリアプノフ関数を用いた解析により、追従誤差の漸近収束を保証する。
シミュレーション結果より、提案手法のResNetベースの適応制御系は、従来のDNNベースの適応制御系と比較して、追従誤差と関数近似誤差を約64%改善できることが示された。これは、ResNetがDNNの勾配消失問題を回避できるためである。
Stats
追従誤差のRMS値は0.329
関数近似誤差のRMS値は3.395
制御入力のRMS値は24.332