Core Concepts
本論文では、無線ネットワークにおける双方向アンテナリピーターの相互性較正手法を提案する。この手法により、リピーターの順方向と逆方向の利得の差を推定し、リピーターを再構成することで、リピーターが伝搬環境の相互的な部分として透明に機能するようにする。これにより、相互性に基づくビームフォーミングを利用したマルチユーザTDD システムでリピーターを有効に活用できる。
Abstract
本論文では、無線ネットワークにおける双方向アンテナリピーターの相互性較正手法を提案している。
2つのアンテナアレイA、Bとリピーターを含むシステムモデルを定義する。リピーターの順方向と逆方向の利得の差を表すパラメータαとβを導入する。
2つの双方向測定を行う。1つはリピーターを通常の設定で行い、もう1つはリピーターの位相を逆転させて行う。これらの測定結果から、αとβの比γ=β/αを推定する。
提案する非線形最小二乗(NLS)基準に基づく推定アルゴリズムを示す。基本的なNLS当てはめアルゴリズムと、それを改善した交互最適化NLSアルゴリズムを説明する。
数値例を示し、提案手法の性能を評価する。高SNR領域では、交互最適化NLSアルゴリズムが基本NLSアルゴリズムに比べて約2dB性能が向上することを示す。
事前に較正されたアレイ、オン/オフ切り替えによる較正、複数リピーターの同時較正などの変形や拡張について議論する。
本手法により、リピーターを伝搬環境の相互的な部品として機能させることができ、相互性に基づくビームフォーミングを利用したマルチユーザTDD システムでリピーターを有効活用できるようになる。
Stats
2つのアンテナアレイAとBはそれぞれMA=4アンテナ、MB=3アンテナを持つ。
伝搬チャネルGはレイリーフェージングモデルを仮定し、独立なCN(0,1)要素を持つ。
受信機の相互性係数RA、TA、RB、TBは位相がランダムな対角行列とする。
リピーターの順方向と逆方向の利得は|α|^2=|β|^2=10dBとする。
SNRが20dB改善すると、ˆγの二乗平均誤差は約10倍減少する。