Core Concepts
CCL5は硫酸化ヘパランと相分離することで濃度勾配を形成し、走化活性を発揮する。
Abstract
本研究では、CCL5の硫酸化ヘパランへの結合と相分離が、CCL5の濃度勾配形成と走化活性に重要な役割を果たすことを示した。
まず、CCL5とヘパリンが液-液相分離を起こし、濃度勾配を形成することを明らかにした。CCL5の塩基性アミノ酸(R44、K45、R47)がヘパリンとの相互作用に重要であり、これらのアミノ酸を置換したCCL5変異体では相分離が減少した。
次に、CCL5の相分離がCCL5の走化活性に必要であることを示した。CCL5をヘパリンビーズに固定化すると濃度勾配が形成され、走化活性が高まった。一方、ニッケルビーズに固定化したCCL5は濃度勾配を形成せず、走化活性が低かった。
さらに、細胞表面の硫酸化ヘパランとCCL5の相分離が、CCL5の走化活性に重要であることを明らかにした。野生型CHO細胞ではCCL5が細胞表面で相分離し、高い走化活性を示したが、硫酸化ヘパランを欠損したCHO細胞では相分離せず、走化活性が低下した。
最後に、マウスの腹腔内投与実験でも、CCL5の硫酸化ヘパランへの結合と相分離が、炎症細胞の遊走に重要であることが示された。
以上の結果から、CCL5の硫酸化ヘパランへの結合と相分離が、濃度勾配形成と走化活性発現に必須であることが明らかになった。この知見は、ケモカイン活性の調節や炎症性疾患の新しい治療戦略の開発につながると期待される。
Stats
CCL5とヘパリンの混合比が1:20のとき、大きな液滴が形成された。
CCL5-EGFP固定化ヘパリンビーズでは濃度勾配が形成されたが、ニッケルビーズでは形成されなかった。
野生型CHO細胞ではCCL5が細胞表面で相分離したが、硫酸化ヘパランを欠損したCHO-677細胞では相分離しなかった。
野生型CCL5の腹腔内投与では炎症細胞の遊走が増加したが、44AANA47-CCL5変異体や野生型CCL5にヘパリンを加えると遊走が抑制された。
Quotes
"CCL5は硫酸化ヘパランと相分離することで濃度勾配を形成し、走化活性を発揮する。"
"CCL5の塩基性アミノ酸(R44、K45、R47)がヘパリンとの相互作用に重要である。"
"CCL5の硫酸化ヘパランへの結合と相分離が、濃度勾配形成と走化活性発現に必須である。"