Core Concepts
FLVCR1 は、ケネディ経路の2つの分枝の共通起点として機能し、高親和性の代謝物トランスポーターとして働く。
Abstract
本研究では、哺乳類細胞で最も豊富なリン脂質であるホスファチジルコリンとホスファチジルエタノールアミンの合成に必要なコリンとエタノールアミンの細胞内取り込み機構を明らかにしている。
FLVCR1 タンパク質は、後柱失調症と網膜色素変性の原因となる遺伝子変異が知られている。本研究では、FLVCR1 がコリンとエタノールアミンを細胞内に取り込むトランスポーターであることを示した。
FLVCR1 の構造解析により、コリンとエタノールアミンが共通の結合部位に結合することが明らかになった。しかし、コリンの四級アミンとエタノールアミンの一級アミンに対する相互作用は異なっていた。
構造情報に基づくアミノ酸変異導入実験により、エタノールアミン輸送に重要な残基を同定した。これにより、ケネディ経路の2つの分枝への取り込み経路を機能的に分離できることが示された。
以上より、FLVCR1 はリン脂質合成の共通起点として機能する高親和性の代謝物トランスポーターであることが明らかになった。
Stats
ケネディ経路は哺乳類細胞で最も豊富なリン脂質であるホスファチジルコリンとホスファチジルエタノールアミンの合成に必須である。
FLVCR1 遺伝子変異は後柱失調症と網膜色素変性の原因となる。
Quotes
FLVCR1 は高親和性の代謝物トランスポーターとして機能し、ケネディ経路の2つの分枝への共通の取り込み経路を提供する。
FLVCR1 はコリンとエタノールアミンの結合部位を共有しているが、それぞれの官能基に対する相互作用は異なる。