Core Concepts
三光子励起蛍光顕微鏡を用いることで、マウス脊髄深部の血流、神経構造、炎症反応を高コントラストで可視化できる。
Abstract
本研究では、三光子励起蛍光顕微鏡を用いて、マウス脊髄深部の血流、神経構造、炎症反応を高コントラストで可視化することを示した。
まず、二光子励起蛍光顕微鏡と比較して、三光子励起蛍光顕微鏡では脊髄深部まで高コントラストで撮像できることを明らかにした。この手法を用いて、脊髄の血管アーキテクチャーを詳細に描出し、血流速度を定量化した。
次に、表面の静脈閉塞モデルを作製し、神経突起の変性と微小グリア細胞の反応を深部まで観察した。神経突起は閉塞部位の周辺で急速に変性し、深部ほどその変性が顕著であった。また、微小グリア細胞は閉塞した血管に向かって遊走し、一部は血管内腔に侵入して血液脊髄関門の破綻を引き起こすことが分かった。
以上より、三光子励起蛍光顕微鏡は、マウス脊髄深部の生理学的プロセスや病態メカニズムの解明に有用な手法であることが示された。
Stats
脊髄表層から550 μmの深部まで高コントラストな三光子励起蛍光イメージングが可能
二光子励起蛍光顕微鏡では150 μm以深の撮像が困難
静脈閉塞後、神経突起は深部ほど早期に変性が進行
微小グリア細胞は閉塞血管に向かって遊走し、一部は血管内腔に侵入して血液脊髄関門を破綻させる
Quotes
「三光子励起蛍光顕微鏡を用いることで、マウス脊髄深部の血流、神経構造、炎症反応を高コントラストで可視化できる」
「神経突起は閉塞部位の周辺で急速に変性し、深部ほどその変性が顕著であった」
「微小グリア細胞は閉塞した血管に向かって遊走し、一部は血管内腔に侵入して血液脊髄関門の破綻を引き起こす」