Core Concepts
IRE1α の二量体化だけでは十分な活性化には至らず、より高次の会合体形成が必要不可欠である。リン酸化は IRE1α の安定な会合体形成を促進し、その結果 RNase 活性が発現する。
Abstract
本研究では、IRE1α の活性化メカニズムを解明するため、様々な IRE1α 変異体を用いて詳細な解析を行った。その結果、以下のような知見が得られた:
IRE1α の二量体化だけでは十分な活性化には至らず、より高次の会合体形成が必要不可欠である。低濃度の IRE1α では二量体同士の衝突が稀であるため、リン酸化が起こりにくい。
リン酸化は IRE1α の安定な会合体形成を促進し、その結果 RNase 活性が発現する。リン酸化を模倣した変異体では低発現でも活性化が可能であった。
核酸結合も IRE1α の会合体形成を安定化し、RNase 活性の発現に寄与する。リン酸化とともに、核酸結合は IRE1α の活性化に重要な役割を果たす。
IRE1α の会合体形成や集積は、RNase 活性の発現に必須ではない。ただし、これらの過程は活性化の程度を調節する上で重要である。
以上の知見から、IRE1α の活性化には二量体形成、リン酸化、核酸結合といった複数の段階的な制御機構が関与することが明らかになった。この制御機構は、ER ストレス応答の強度に応じた適切な細胞応答を実現するために重要であると考えられる。
Stats
ER ストレス下で IRE1α のリン酸化レベルは XBP1 スプライシング活性と相関する
低発現の二量体化 IRE1α では、リン酸化とRNase 活性が観察されない
高発現の二量体化 IRE1α では、リン酸化とRNase 活性が観察される
リン酸化を模倣した変異体の二量体化 IRE1α は低発現でも活性化される
キナーゼ活性欠損変異体の IRE1α は、核酸結合活性化剤の存在下で RNase 活性を示す
Quotes
"IRE1α の二量体化だけでは十分な活性化には至らず、より高次の会合体形成が必要不可欠である。"
"リン酸化は IRE1α の安定な会合体形成を促進し、その結果 RNase 活性が発現する。"
"核酸結合も IRE1α の会合体形成を安定化し、RNase 活性の発現に寄与する。"