Core Concepts
ゴリラの多配偶性の進化に伴い、精子形成に関連する遺伝子が緩やかな自然選択圧の下にあり、多数の有害な変異が蓄積している。
Abstract
本研究では、261種の哺乳類ゲノムから13,310の正規化された遺伝子アラインメントを作成し、ゴリラ系統における遺伝子進化の特徴を解析した。その結果、ゴリラ系統では96個の遺伝子が正の自然選択を受けていたのに対し、578個の遺伝子が緩やかな自然選択圧の下にあることが明らかになった。
ゴリラの緩やかな自然選択圧を受けている遺伝子は、精子形成や精子機能に関連する機能を持つことが分かった。これらの遺伝子は精子形成過程の減数分裂期以降の発現が特に高く、精子細胞や精漿中のタンパク質にも豊富に含まれていた。さらに、ショウジョウバエを用いた機能解析により、これらの遺伝子の41個が新規の精子形成関連遺伝子であることが明らかになった。
また、ゴリラの緩やかな自然選択圧を受けている遺伝子の多くが、男性不妊症患者のゲノムにおいて機能喪失変異の蓄積が見られることが示された。これらの結果は、ゴリラの多配偶性の進化に伴う精子競争の減少が、精子形成関連遺伝子の機能低下を引き起こし、ゴリラの精子形成の非効率性の分子的基盤を提供していることを示唆している。さらに、ゴリラの緩やかな自然選択圧を受けている遺伝子には、未知の精子形成メカニズムや男性不妊の原因遺伝子が含まれている可能性が高い。
Stats
ゴリラ系統で578個の遺伝子が緩やかな自然選択圧の下にあった。
これらの遺伝子のうち75%の変異は、強い選択圧がかかる部位で生じていた。
ゴリラの緩やかな自然選択圧を受けている遺伝子の人工中の相同遺伝子は、男性不妊患者のゲノムにおいて機能喪失変異の蓄積が見られた。
Quotes
ゴリラの多配偶性の進化に伴い、精子形成に関連する遺伝子が緩やかな自然選択圧の下にあり、多数の有害な変異が蓄積している。
ゴリラの緩やかな自然選択圧を受けている遺伝子は、精子形成過程の減数分裂期以降の発現が特に高く、精子細胞や精漿中のタンパク質にも豊富に含まれている。
ゴリラの緩やかな自然選択圧を受けている遺伝子の人工中の相同遺伝子は、男性不妊患者のゲノムにおいて機能喪失変異の蓄積が見られた。