Core Concepts
ドロソフィラMSL1のN末端領域は、roX RNAとの相互作用と高親和性部位(HAS)への濃縮補償複合体の結合に重要な役割を果たす。
Abstract
本研究では、ドロソフィラMSL1タンパク質のN末端領域の機能的役割を調べた。
MSL1のN末端15アミノ酸は、MSL1の安定性に重要である。この領域の欠失や置換は、roX RNAとの相互作用と、HASへの濃縮補償複合体の結合を強く阻害する。
MSL1のN末端41-65アミノ酸領域も、濃縮補償複合体の HAS への結合に重要な役割を果たす。
MSL1のN末端3-7アミノ酸の置換(MSL1GS)は、roX RNAとの相互作用を阻害し、濃縮補償機能を大きく損なう。
MSL1GS変異体は、MSL2との結合は維持するが、HASへの結合が著しく低下する。一方、MSL1Δ41-85変異体は、MSL2との結合は維持しつつ、HASへの結合が部分的に低下する。
これらの結果から、MSL1のN末端領域、特に15アミノ酸と41-65アミノ酸は、roX RNAとの相互作用と濃縮補償複合体のHASへの特異的な結合に重要な役割を果たすことが示された。
Stats
MSL1のN末端15アミノ酸の欠失や置換は、MSL1タンパク質の安定性を大きく低下させる。
MSL1のN末端3-7アミノ酸の置換(MSL1GS)は、MSL1タンパク質の発現量を1.5-2倍低下させる。
MSL1Δ1-15、MSL1Δ41-65、MSL1GS変異体は、X染色体上のHASへのMSLタンパク質の結合を著しく減少させる。
MSL1Δ41-85変異体は、HASへのMSLタンパク質の結合を部分的に減少させる。
Quotes
"MSL1のN末端15アミノ酸は、MSL1の安定性に重要である。"
"MSL1のN末端3-7アミノ酸の置換(MSL1GS)は、濃縮補償機能を大きく損なう。"
"MSL1のN末端41-65アミノ酸領域は、濃縮補償複合体のHASへの結合に重要な役割を果たす。"