Core Concepts
ヘリコニウス蝶の一種であるH. elevatus は、両親種との遺伝子流動にもかかわらず、独立した進化系統として少なくとも18万年間持続してきた雑種種である。これは、両親種からの生態的形質の多座位遺伝子浸潤によって、H. elevatus が独自の適応ピークを形成し、両親種と共存できるようになったためである。
Abstract
本研究は、ヘリコニウス蝶における雑種起源の事例を示している。ヘリコニウス蝶の一種であるH. elevatus は、両親種であるH. pardalinusとH. melpomeneとの間で遺伝子流動が持続的に起こっているにもかかわらず、独立した進化系統として少なくとも18万年間存続してきた。
H. elevatus の99%の遺伝子は、主にH. pardalinusから浸潤したものである。しかし、残りの1%の遺伝子は、H. melpomeneから浸潤したものであり、H. elevatus のゲノム上に散在する分化領域に位置している。これらの分化領域には、色彩パターン、翅形状、寄主植物選好性、性フェロモン、交尾選好性など、適応度に関わる複数の形質が含まれている。
これらの生態的形質の多座位遺伝子浸潤によって、H. elevatus は両親種とは異なる独自の適応ピークを形成し、両親種との共存を可能にしたと考えられる。本研究の結果は、遺伝子流動下での種分化が、多座位の遺伝的アーキテクチャーによって可能であることを示している。
Stats
H. elevatus は両親種との間で持続的な遺伝子流動が起こっているにもかかわらず、少なくとも18万年間独立した進化系統として存続してきた。
H. elevatus のゲノムの99%は、主にH. pardalinusから浸潤したものである。
H. elevatus のゲノムの残りの1%は、H. melpomeneから浸潤したものであり、適応度に関わる複数の形質を含む分化領域に位置している。
Quotes
「ヘリコニウス蝶の一種であるH. elevatus は、両親種との遺伝子流動にもかかわらず、独立した進化系統として少なくとも18万年間持続してきた雑種種である。」
「これは、両親種からの生態的形質の多座位遺伝子浸潤によって、H. elevatus が独自の適応ピークを形成し、両親種と共存できるようになったためである。」