Core Concepts
OVOは雌性生殖細胞の発達に必要不可欠な遺伝子群の発現を正に調節する重要な転写因子である。
Abstract
本研究では、ドロソフィラの雌性生殖細胞におけるOVOの機能を明らかにするため、ゲノムワイドでのOVO結合部位の同定とOVO依存的な遺伝子発現変化の解析を行った。
主な結果は以下の通り:
OVOは主に転写開始部位(TSS)近傍に結合し、TSSに近接したOVO結合モチーフが豊富に見られた。
OVO結合部位は、オープンクロマチンや転写活性化ヒストン修飾(H3K27ac、H3K4me3)と相関していた。一方で、抑制的なヒストン修飾(H3K9me3、H3K27me3)とは相関が見られなかった。
OVOの発現量を増加させると、OVO結合遺伝子の多くが発現上昇した。一方で、OVO非結合遺伝子の多くが発現減少した。
OVO結合遺伝子には、卵形成や初期胚発生に重要な遺伝子群が多数含まれていた。これらには、体軸・生殖細胞形成、卵活性化、母性mRNA翻訳制御に関わる遺伝子が含まれていた。
以上の結果から、OVOは雌性生殖細胞の発達に必要不可欠な多くの遺伝子群の発現を正に調節する重要な転写因子であると考えられる。OVOは主にTSS近傍に結合し、オープンクロマチンや転写活性化ヒストン修飾と相関することで、これらの遺伝子発現を促進していると示唆された。
Stats
卵形成や初期胚発生に重要な遺伝子群の多くがOVO結合遺伝子であり、OVO発現量増加により発現上昇した。
OVO非結合遺伝子の多くが発現減少した。
OVO結合遺伝子の71%が0-2時間胚で中程度発現していた。
Quotes
OVOは雌性生殖細胞の発達に必要不可欠な多くの遺伝子群の発現を正に調節する重要な転写因子である。
OVOは主にTSS近傍に結合し、オープンクロマチンや転写活性化ヒストン修飾と相関することで、これらの遺伝子発現を促進していると示唆された。