Core Concepts
ナマコのクロック遺伝子NvClkは、光依存的な経路を介して概日リズムを維持する重要な役割を果たしている。
Abstract
本研究では、ナマコの海洋無脊椎動物Nematostella vectensisを用いて、クロック遺伝子NvClkの機能を解明した。
まず、CRISPR/Cas9を用いてNvClk変異体を作出し、行動解析を行った。その結果、NvClk変異体では、明暗条件下では24時間リズムが維持されるものの、恒暗条件下では概日リズムが失われることが明らかになった。
次に、トランスクリプトーム解析を行ったところ、NvClk変異体では、明暗条件下と恒暗条件下で発現リズムを示す遺伝子群が大きく異なることが分かった。特に、恒暗条件下では、リズム性遺伝子数が大幅に減少していた。
さらに、NvClkを含む概日時計遺伝子群の発現パターンが変化しており、NvClkが概日時計の中心的な役割を果たしていることが示唆された。
加えて、NvClk変異体では、細胞分裂や神経系の発達に関わる遺伝子群の発現が恒暗条件下で大きく変化していた。
以上の結果から、ナマコのクロック遺伝子NvClkは、光依存的な経路を介して概日リズムを維持する重要な役割を果たしていることが明らかになった。また、NvClkは概日時計の中心的な制御因子として、生理機能の概日リズム化にも関与していることが示唆された。
Stats
明暗条件下のNvClk変異体では、24時間リズムを示す個体が野生型に比べて有意に少なかった。
恒暗条件下のNvClk変異体では、24時間リズムを示す個体がほとんどいなかった。
明暗条件下のNvClk変異体では、リズム性遺伝子数が野生型と同程度だったが、恒暗条件下では大幅に減少した。
NvClk変異体では、細胞分裂や神経系の発達に関わる遺伝子群の発現が恒暗条件下で大きく変化していた。
Quotes
「NvClkは、光依存的な経路を介して概日リズムを維持する重要な役割を果たしている」
「NvClkは概日時計の中心的な制御因子として、生理機能の概日リズム化にも関与している」