Core Concepts
大腸菌におけるRecBCD発現は、Hfqタンパク質による翻訳後調節機構によって微調整されており、これにより最適なRecBCD分子数が維持されている。
Abstract
本研究では、大腸菌におけるRecBCD発現の調節メカニズムを明らかにした。
RecBCDサブユニットをコードする遺伝子群は低レベルで恒常的に転写されており、recB mRNAは非常に低abundance かつ短寿命である。一方、RecBタンパク質は長寿命で、その細胞間変動は予想よりも小さい。
Hfqタンパク質がrecB mRNAに結合し、翻訳を抑制することで、RecBタンパク質の発現を調節している。Hfqを欠失すると、RecBタンパク質の発現が増加する。
DNA二本鎖切断ストレス下では、RecBタンパク質の翻訳効率が上昇するが、mRNA量は減少する。これにより、RecBCD発現が適切な範囲に維持される。
Hfqによる翻訳抑制は、RecBタンパク質の細胞間変動を抑制する役割も果たしている。Hfqを欠失すると、変動が増大する。
RecBタンパク質の過剰発現は DNA修復能を低下させるため、Hfqによる微調整機構は、RecBCD分子数を最適な範囲に保つ重要な役割を果たしていると考えられる。
Stats
recB mRNAの平均寿命は1.6分である。
新生細胞における recB mRNAの平均発現量は0.95分子/細胞である。
RecBタンパク質の平均発現量は3.9分子/細胞である。
RecBタンパク質の除去速度は0.015/分である。
DNA二本鎖切断ストレス下では、RecBタンパク質の翻訳効率が2.5倍上昇する。
Quotes
"RecBCD has been shown to process the chromosome for up to ∼ 100 kb at ∼ 1.6 kb/s in live bacteria [5]. Such a potent DNA degradation activity is controlled by chi recognition [11]. However, because this recognition is probabilistic [12], RecBCD can degrade large chromosome fragments before DNA repair is initiated."
"Whilst the biochemical and in vivo activities of RecBCD have been extensively studied ([11, 16, 17, 18, 19], and [7, 20] for review), less is known about the regulation of its expression."