Core Concepts
大腸菌のゲノム濃度は細胞増殖率と蛋白質組成を決定する重要な要因である。
Abstract
本研究では、大腸菌の細胞増殖率と蛋白質組成に及ぼすゲノム濃度の影響を明らかにした。
主な結果は以下の通り:
DNA複製が阻害された1コピーのゲノムを持つ細胞(1N細胞)は、複数のゲノムを持つ細胞(multi-N細胞)に比べて増殖率が低下する。この差は生理的な細胞サイズ範囲でも観察された。
1N細胞では、活性型RNAポリメラーゼとリボソームの総量が細胞サイズに対して非線形的に増加する。これにより、mRNA合成とタンパク質合成が制限される。
ゲノム濃度の低下に伴い、蛋白質組成が全体的に変化する。近接遺伝子ほど発現が低下する傾向がある。
数理モデルの解析から、ゲノム濃度の低下がmRNA量の減少を引き起こし、それがリボソームの活性低下とタンパク質合成の減少につながることが示された。
以上の結果は、ゲノム濃度が細胞増殖と蛋白質発現を制御する重要な要因であることを明らかにした。この原理は細菌から真核生物まで保存されていると考えられる。
Stats
1N細胞の絶対増殖速度は細胞サイズに対して非線形的に増加する
1N細胞のRNAポリメラーゼ濃度は細胞サイズとともに増加する
1N細胞のリボソーム活性型割合は細胞サイズとともに減少する
1N細胞のmRNA濃度は細胞サイズとともに減少する
Quotes
"ゲノム濃度は細胞増殖率と蛋白質組成を決定する重要な要因である。"
"細胞増殖率は活性型リボソームの総量に比例する。"
"ゲノム濃度の低下は、mRNA量の減少を引き起こし、それがリボソームの活性低下とタンパク質合成の減少につながる。"