Core Concepts
ショウジョウバエ胚発生初期のドルソ-ベントラル軸に沿った細胞集団の蛋白質とリン酸化蛋白質の変化を網羅的に解析し、細胞運命決定と細胞形態変化の関係を明らかにした。
Abstract
本研究では、ショウジョウバエ胚発生初期のドルソ-ベントラル軸に沿った3つの主要な細胞集団(背側、側方、腹側)を代表する変異体を用いて、これらの細胞集団の蛋白質とリン酸化蛋白質の網羅的な変化を解析した。
主な結果は以下の通り:
6111の蛋白質群と6259のリン酸化部位を検出し、そのうち3399と3433がそれぞれ変化していた。
リン酸化の変化は必ずしも蛋白質量の変化と相関せず、ガストルレーション過程での重要な調節機構であることが示唆された。
階層的クラスタリングにより、既知の細胞運命決定因子(Doc1、Sog、Snail、Twist)を含む発現変化パターンの異なるクラスターが同定された。
ネットワーク解析により、微小管関連蛋白質が主要な調節対象の1つであることが明らかになった。
微小管の機能解析により、ドルソ-ベントラル軸に沿った細胞集団間で微小管の機能が異なることが示された。
以上より、本研究は、ガストルレーション過程における細胞運命決定と細胞形態変化の関係を蛋白質レベルで明らかにした。
Stats
Snailは腹側細胞集団で5.4倍増加していた。
Twistは腹側細胞集団で14.6倍増加していた。
Tollタンパク質は側方細胞集団で減少し、Spn27Aタンパク質は腹側細胞集団で減少していた。
Tollタンパク質のリン酸化部位871番目のセリンは側方および腹側細胞集団で差異的に変化していた。
Quotes
「リン酸化は、ガストルレーション過程での重要な調節機構である可能性がある」
「微小管関連蛋白質が主要な調節対象の1つであることが明らかになった」
「ドルソ-ベントラル軸に沿った細胞集団間で微小管の機能が異なることが示された」