Core Concepts
腸管由来のペプチドFLP-2が、神経系からのFLP-1ペプチドの放出を促進することで、腸管の抗酸化応答を活性化する。この過程は、腸管内の過酸化水素によって正に制御されている。
Abstract
本研究は、腸管と神経系の双方向性シグナル伝達を介した抗酸化応答の調節機構を明らかにしている。
腸管由来のFLP-2ペプチドは、神経系のFLP-1ペプチドの放出を促進することで、腸管の抗酸化応答を活性化する。FLP-2の放出は、腸管内の過酸化水素(H2O2)によって正に制御されている。
具体的には以下の通り:
- FLP-2の放出は、ミトコンドリアマトリックスのSOD-3と細胞質のSOD-1によって産生されたH2O2によって促進される。一方、PRDX-2/TRX-3系によってH2O2が消去されることで、FLP-2の放出は抑制される。
- H2O2によるFLP-2の放出促進は、腸管のPKC-2/PKCα/βキナーゼを介して行われる。PKC-2は、DAGの産生を触媒するPLCβ(EGL-8)によって活性化される。
- FLP-2の放出は、SNARE複合体タンパク質AEX-4/SNAP25依存的なエキソサイトーシスを介して行われる。
- FLP-2の放出は、神経系からのFLP-1ペプチドの放出を促進し、その結果腸管の抗酸化応答が活性化される。
以上のように、腸管由来のFLP-2ペプチドと神経系由来のFLP-1ペプチドによる双方向性シグナル伝達が、腸管の抗酸化応答を調節する重要な機構であることが明らかになった。
Stats
野生型動物では、ジュグロン処理によりFLP-1の分泌が2倍増加する。
aex-5変異体では、ジュグロン処理によるFLP-1分泌の増加が見られない。
flp-2変異体では、ジュグロン処理によるFLP-1分泌の増加が見られない。
prdx-2変異体では、FLP-2の基礎分泌が増加している。
pkc-2変異体では、ジュグロン処理によるFLP-2分泌の増加が見られない。
egl-8変異体では、ジュグロン処理によるFLP-2分泌の増加が見られない。
Quotes
「腸管由来のペプチドFLP-2が、神経系からのFLP-1ペプチドの放出を促進することで、腸管の抗酸化応答を活性化する」
「FLP-2の放出は、ミトコンドリアマトリックスのSOD-3と細胞質のSOD-1によって産生されたH2O2によって促進される」
「H2O2によるFLP-2の放出促進は、腸管のPKC-2/PKCα/βキナーゼを介して行われる」