Core Concepts
本研究は、人間の関節の低摩擦特性を模倣するために、流体放出型の人工軟骨を開発し、その機能と有用性を実証することを目的としている。
Abstract
本研究は、人間の関節の低摩擦特性を実現するために、流体放出型の人工軟骨の開発に取り組んでいる。
まず、人間の軟骨の解剖学的・生理学的特性を分析し、その特性を模倣するための機構を提案した。この機構では、ゴム製の軟骨部分に吸水性の素材を挿入することで、荷重に応じて軟骨から滑液が放出される仕組みを実現している。
次に、この流体放出型軟骨シートの性能を評価するための実験を行った。荷重下での流体放出機能と摩擦係数の測定を行い、提案した機構が期待通りの機能を発揮することを確認した。さらに、この軟骨シートを用いて、骨、靭帯、滑液、関節包から成る開放型の球関節を実際に製作し、その有用性を実証した。
本研究の成果は、生物模倣ロボットの関節構造の実現に貢献するものと期待される。人間の関節のような柔軟性、衝撃吸収性、多自由度を持つ関節の実現に向けて、液体を活用した新しいアプローチを示したといえる。今後は、さらなる性能向上や制御手法の検討など、実用化に向けた研究の進展が期待される。
Stats
軟骨の厚さは数ミリメートルで、ヤング率は約1MPaである。
軟骨の摩擦係数は0.005-0.1の範囲にある。
ベアリングの転がり摩擦係数は0.0010-0.0015、スライド軸受の摩擦係数は0.07-0.15である。
提案した流体放出型軟骨の摩擦係数は0.053であり、従来の人工関節材料よりも半分以下の値を実現した。
Quotes
"人間の関節は、骨、軟骨、靭帯、滑液、関節包から成る開放型の関節で、柔軟性と衝撃吸収性の利点を持っている。"
"人間の関節の低摩擦は、軟骨からの流体放出による潤滑機能によって実現されている。"
"提案した流体放出型軟骨機構は、生物模倣ロボットの開放型球関節の実現に貢献すると期待される。"