Core Concepts
アクアポリン-0は、スフィンゴミエリンとコレステロールに富む膜中で2次元アレイを形成する。このアレイ形成には、膜中のコレステロールの位置と量が重要な役割を果たしている。
Abstract
本研究では、アクアポリン-0(AQP0)がスフィンゴミエリンとコレステロールからなる膜中で2次元アレイを形成する構造を明らかにした。
まず、AQP0をスフィンゴミエリンとコレステロールの様々な比率の膜中で再構成したところ、どの比率でも2次元結晶を形成した。特に、コレステロールのみの膜中でも2次元結晶が得られた。
次に、スフィンゴミエリン:コレステロール比が2:1の膜中のAQP0結晶構造(AQP02SM:1Chol)を2.5Åの分解能で決定した。この構造では、AQP0テトラマーの周りに7分子のスフィンゴミエリンと1分子のコレステロールが結合していた。
さらに、スフィンゴミエリン:コレステロール比が1:2の膜中のAQP0結晶構造(AQP01SM:2Chol)を2.5Åの分解能で決定した。この構造では、AQP0テトラマーの周りに5分子のスフィンゴミエリンと4分子のコレステロールが結合していた。特に注目されるのは、2つのAQP0テトラマーの間に深く埋まったコレステロール分子(Chol3)の存在である。
分子動力学シミュレーションの結果、この深部コレステロールは2つのAQP0テトラマーの間に安定に存在し、テトラマー間の結合を強化することが示された。さらに、深部コレステロールの存在は、AQP0テトラマー間の引き離しに必要な力を増大させることが明らかになった。
以上の結果から、AQP0の2次元アレイ形成には、膜中のコレステロールの位置と量が重要な役割を果たしていることが示唆された。特に、2つのAQP0テトラマーの間に深く埋まったコレステロールが、アレイの安定化に寄与していると考えられる。このメカニズムは、脂質ラフトにおける膜タンパク質のクラスター化にも適用できるかもしれない。
Stats
アクアポリン-0テトラマーは、スフィンゴミエリンとコレステロールに富む膜中で2次元アレイを形成する。
AQP02SM:1Cholの膜中では、AQP0テトラマーの周りに7分子のスフィンゴミエリンと1分子のコレステロールが結合している。
AQP01SM:2Cholの膜中では、AQP0テトラマーの周りに5分子のスフィンゴミエリンと4分子のコレステロールが結合している。そのうち1分子のコレステロールは、2つのAQP0テトラマーの間に深く埋まっている。
Quotes
"アクアポリン-0テトラマーは、スフィンゴミエリンとコレステロールに富む膜中で2次元アレイを形成する。"
"2つのAQP0テトラマーの間に深く埋まったコレステロールが、アレイの安定化に寄与していると考えられる。"