Core Concepts
乾癬の非病変部と正常皮膚では、ケラチノサイトにおけるセマフォリン4Aの発現が低下しており、これが乾癬の発症に関与している可能性がある。
Abstract
本研究では、乾癬患者の皮膚と血液、およびセマフォリン4A欠損マウスを用いて、乾癬の発症におけるセマフォリン4Aの役割を明らかにした。
主な結果は以下の通り:
- 乾癬の非病変部と病変部のケラチノサイトでは、セマフォリン4Aの発現が正常皮膚に比べて低下していた。一方、血液中の免疫細胞ではセマフォリン4Aの発現が上昇していた。
- セマフォリン4A欠損マウスでは、イミキモド誘発性の乾癬様皮膚炎が増悪し、正常マウスと比べて表皮の肥厚や IL-17A産生T細胞の増加など、乾癬の非病変部に特徴的な表現型を示した。
- 骨髄キメラマウスの解析から、ケラチノサイトにおけるセマフォリン4Aの発現低下が、乾癬様皮膚炎の増悪に寄与することが示唆された。
- セマフォリン4A欠損マウスの表皮では、mTOR経路の活性化が観察され、mTOR阻害剤の投与によりケラチノサイトの分化マーカーの発現が改善した。
以上より、ケラチノサイトにおけるセマフォリン4Aの発現低下が、乾癬の非病変部の特徴を引き起こす可能性が示された。セマフォリン4Aシグナルの制御は、乾癬の治療や予防につながる新たな標的となる可能性がある。
Stats
乾癬の非病変部と病変部のケラチノサイトでは、セマフォリン4Aの発現が正常皮膚に比べて有意に低下していた。
セマフォリン4A欠損マウスでは、正常マウスと比べて表皮の肥厚が有意に亢進していた。
セマフォリン4A欠損マウスの表皮では、Krt5、Krt14、Krt16の発現が有意に上昇していた。
セマフォリン4A欠損マウスの表皮では、mTORC1およびmTORC2シグナルの活性化が観察された。
Quotes
"乾癬の非病変部と病変部のケラチノサイトでは、セマフォリン4Aの発現が正常皮膚に比べて有意に低下していた。"
"セマフォリン4A欠損マウスでは、正常マウスと比べて表皮の肥厚が有意に亢進していた。"
"セマフォリン4A欠損マウスの表皮では、Krt5、Krt14、Krt16の発現が有意に上昇していた。"
"セマフォリン4A欠損マウスの表皮では、mTORC1およびmTORC2シグナルの活性化が観察された。"