Core Concepts
α-シヌクレインのN末端アセチル化は、リソホスファチジルコリンとの相互作用を増強し、シナプス小胞のクラスター化を促進する。
Abstract
本研究では、α-シヌクレインのN末端アセチル化がシナプス小胞のクラスター化に及ぼす影響を明らかにした。
まず、N末端アセチル化されたα-シヌクレイン(Ac-α-syn)と非修飾のα-シヌクレイン(un-α-syn)を調製し、それらがマウスのシナプス小胞のクラスター化に及ぼす影響を検討した。その結果、Ac-α-synはun-α-synに比べて、シナプス小胞のクラスター化を著しく増強することが分かった。
次に、α-シヌクレインがリン脂質膜と結合することに着目し、リソホスファチジルコリン(LPC)やジオレオイルホスファチジルセリン(DOPS)を含む人工リポソームを用いて、Ac-α-synとun-α-synの膜結合特性を解析した。その結果、Ac-α-synはLPCとの結合親和性が著しく増大しているのに対し、DOPSとの結合親和性はわずかに低下していることが明らかになった。さらに、Ac-α-synとLPCの相互作用では、Ac-α-synの分子間相互作用が顕著に増加していることが示された。
以上の結果から、α-シヌクレインのN末端アセチル化は、LPCとの結合を強化し、シナプス小胞のクラスター化を促進することが明らかになった。一方、DOPSとの結合は弱まるため、N末端アセチル化はα-シヌクレインの機能調節に重要な役割を果たすことが示唆された。
Stats
シナプス小胞のクラスター化の程度は、Ac-α-synが非修飾のun-α-synに比べて有意に高かった。
Ac-α-synはLPCとの結合親和性が著しく増大しているが、DOPSとの結合親和性はわずかに低下していた。
Ac-α-synとLPCの相互作用では、Ac-α-synの分子間相互作用が顕著に増加していた。
Quotes
Ac-α-synはLPCとの結合を強化し、シナプス小胞のクラスター化を促進する。
N末端アセチル化はα-シヌクレインの機能調節に重要な役割を果たす。