Core Concepts
DRG 感覚神経軸索の二叉分岐形成には、Ntn1 と Slit シグナリングが独立した役割を果たし、両経路の欠損により二叉分岐構造が完全に失われる。
Abstract
本研究では、DRG 感覚神経軸索の二叉分岐形成における Ntn1 と Slit シグナリングの役割を明らかにした。
Ntn1 欠損マウスでは、DRG 軸索が二叉分岐時に背側に逸脱するミスプロジェクションが観察された。一方、Slit1/2 欠損マウスでは、一方の分枝が脊髄内に侵入するミスプロジェクションが見られた。
Ntn1 と Slit1/2 の三重欠損マウスでは、二叉分岐構造である背側索がほぼ完全に消失し、DRG 軸索が脊髄内外に無秩序に投射する重篤な表現型が示された。
単一軸索解析により、Ntn1 と Slit は二叉分岐の異なる側面を制御することが明らかになった。Ntn1 は二叉分岐後の軸索誘導に、Slit は二叉分岐自体の制御に関与する。
DCC や Robo 受容体の欠損マウスでも同様の表現型が観察され、リガンドと受容体の両方が二叉分岐形成に必要であることが示された。
以上より、DRG 感覚神経軸索の二叉分岐形成には、Ntn1 と Slit シグナリングが独立した役割を果たし、両経路の協調的な制御が重要であることが明らかになった。
Stats
Ntn1β/β変異体では、DRG 軸索が背側に逸脱する線維が、DREZ 近位部で平均22本、中央部で17本、遠位部で14本観察された。
Slit1-/-;Slit2-/-;Ntn1β/β三重変異体では、DREZ 近位部で有意に多くの逸脱線維が観察された。
Robo1Robo2-/-;DCC-/- 三重変異体では、DREZ から水平方向に侵入する線維と背側に逸脱する線維の両方が増加した。
Quotes
"DRG 感覚神経軸索の二叉分岐形成には、Ntn1 と Slit シグナリングが独立した役割を果たし、両経路の欠損により二叉分岐構造が完全に失われる。"
"Ntn1 は二叉分岐後の軸索誘導に、Slit は二叉分岐自体の制御に関与する。"
"DCC や Robo 受容体の欠損マウスでも同様の表現型が観察され、リガンドと受容体の両方が二叉分岐形成に必要であることが示された。"