Core Concepts
寒冷は視床下部室傍核における神経活動依存的な脂質過酸化と脂肪分解を誘発する。
Abstract
本研究は、寒冷曝露が脳内の特定の領域、特に視床下部室傍核(PVH)における脂質代謝を調節することを明らかにした。具体的には以下の知見が得られた:
寒冷曝露により、PVHにおいてのみ脂肪分解関連遺伝子の発現が選択的に増加した。一方、他の視床下部領域や熱産生関連遺伝子の発現は変化しなかった。
寒冷曝露によりPVHにおいて脂肪滴の蓄積が増加した。この脂肪滴の蓄積は神経活動の抑制により抑制された。
光ファイバー光度計を用いた in vivo 実験により、寒冷曝露がPVHにおける脂質過酸化と脂肪分解を亢進させることが示された。この効果は神経活動の抑制により阻害された。
以上の結果から、寒冷刺激によりPVHの神経活動が亢進し、それに伴う脂質代謝の変化が引き起こされることが明らかになった。この知見は、脳内の温度勾配に応じた領域特異的な脂質代謝調節機構の存在を示唆している。
Stats
寒冷曝露により、PVHにおいてのみ脂肪分解関連遺伝子ATGL及びHSLの発現が有意に増加した。
寒冷曝露により、PVHにおける脂肪滴の蓄積が増加した。
光ファイバー光度計による in vivo 実験では、寒冷曝露がPVHにおける脂質過酸化と脂肪分解を亢進させることが示された。
Quotes
"寒冷は視床下部室傍核における神経活動依存的な脂質過酸化と脂肪分解を誘発する。"
"脳内の温度勾配に応じた領域特異的な脂質代謝調節機構の存在が示唆される。"