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歯状回顆粒細胞への外側および内側嗅内皮質投射における2つの異なる spike timing-dependent depression の発見


Core Concepts
外側および内側嗅内皮質-歯状回顆粒細胞シナプスにおいて、2つの異なる形態の presynaptic spike timing-dependent depression が存在することを発見した。
Abstract
本研究では、外側および内側嗅内皮質から歯状回顆粒細胞への興奮性投射において、spike timing-dependent long-term depression (t-LTD) が誘導されることを明らかにした。 まず、外側および内側嗅内皮質-歯状回顆粒細胞シナプスにおいて、単一の postsynaptic スパイクと presynaptic活動を対にした pairing 刺激によって、robust な t-LTD が誘導されることを示した。 次に、この2つの t-LTD の発現メカニズムを詳細に検討した。両者ともに presynaptic に発現しており、グルタミン酸放出確率の低下によって引き起こされることが明らかになった。興味深いことに、MPP-GC シナプスにおける t-LTD は NMDAR (GluN2A サブユニット含有)に依存するが、LPP-GC シナプスでは NMDAR に依存しない。また、LPP-GC シナプスの t-LTD はmGluR5に、MPP-GC シナプスの t-LTD はmGluR1に依存する。 さらに、両者の t-LTD には共通して、postsynaptic Ca2+放出、eCB合成、CB1R活性化、アストロサイト活性、およびグルタミン酸が必要であることが示された。一方で、LPP-GC シナプスの t-LTDにはカルシニューリンの関与が、MPP-GC シナプスの t-LTDには関与しないことが明らかになった。 以上より、外側および内側嗅内皮質-歯状回顆粒細胞シナプスにおいて、異なる分子メカニズムを持つ2つの新規な presynaptic t-LTD が存在することが明らかになった。これらの t-LTD は、記憶やその他の情報処理における歯状回の役割を理解する上で重要であると考えられる。
Stats
外側嗅内皮質-歯状回顆粒細胞シナプスにおける t-LTD 誘導後の EPSP 振幅は、基準値の63 ± 5%まで減少した。 内側嗅内皮質-歯状回顆粒細胞シナプスにおける t-LTD 誘導後の EPSP 振幅は、基準値の59 ± 5%まで減少した。 t-LTD 誘導後、外側および内側嗅内皮質-歯状回顆粒細胞シナプスにおける EPSP 失敗率が有意に増加した。 t-LTD 誘導後、外側および内側嗅内皮質-歯状回顆粒細胞シナプスにおける paired-pulse ratio が有意に増加した。 t-LTD 誘導後、外側および内側嗅内皮質-歯状回顆粒細胞シナプスにおけるmEPSP頻度が有意に減少したが、振幅に変化はなかった。
Quotes
"我々は、外側および内側嗅内皮質-歯状回顆粒細胞シナプスにおいて、2つの新規な presynaptic t-LTD を発見した。" "外側嗅内皮質-歯状回顆粒細胞シナプスの t-LTD は mGluR5 に、内側嗅内皮質-歯状回顆粒細胞シナプスの t-LTD は mGluR1 に依存する。" "両者の t-LTD には共通して、postsynaptic Ca2+放出、eCB合成、CB1R活性化、アストロサイト活性、およびグルタミン酸が必要である。"

Deeper Inquiries

外側および内側嗅内皮質-歯状回顆粒細胞シナプスにおける t-LTD の生理学的役割は何か?

この研究によれば、外側嗅内皮質-歯状回顆粒細胞(LPP-GC)および内側嗅内皮質-歯状回顆粒細胞(MPP-GC)シナプスにおいて、t-LTDは重要な役割を果たしています。t-LTDは、神経伝達物質の放出確率の低下を通じて表現され、プラスチック性や情報処理に影響を与えることが示されています。これらのシナプスにおけるt-LTDの存在は、海馬DG GCにおける新たな発見であり、情報処理や学習メカニズムにおいて重要な役割を果たしている可能性があります。

NMDAR サブユニット組成の違いがt-LTDの発現メカニズムにどのように影響しているのか?

この研究によると、NMDARサブユニットの組成の違いがt-LTDの発現メカニズムに影響を与えています。具体的には、MPP-GCシナプスにおけるt-LTDは、GluN2Aサブユニットを含むNMDARが必要である一方、LPP-GCシナプスにおけるt-LTDはNMDARが必要ではないことが示されています。この違いは、異なるNMDARサブユニットの関与によるものであり、それぞれのシナプスで異なる作用メカニズムが存在することを示唆しています。

アストロサイトが関与する他の神経伝達物質やシグナル経路は、これらの t-LTD にどのように関与しているのか?

この研究によると、アストロサイトが関与する他の神経伝達物質やシグナル経路が、外側および内側嗅内皮質-歯状回顆粒細胞シナプスにおけるt-LTDに重要な役割を果たしています。具体的には、eCBの合成とCB1受容体の活性化が必要であり、これらはt-LTDの誘導に不可欠です。さらに、アストロサイトとアストロサイトシグナル伝達がグリオトランスミッターの放出を促進し、グルタミン酸がt-LTDの誘導に必要であることが示されています。これらの神経伝達物質やシグナル経路は、t-LTDのメカニズムにおいて重要な役割を果たしており、シナプスのプラスチック性や情報処理に影響を与えている可能性があります。
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