Core Concepts
感覚刺激表現の学習過程において、発火頻度とバースト発火の独立した変化が、誤差信号と注意メカニズムに関わる鋭敏化信号を担うことが明らかになった。
Abstract
本研究では、一次体性感覚野の神経細胞活動を記録し、感覚刺激の検出学習に伴う神経表現の変化を調べた。
学習前の動物では、感覚刺激に対する神経細胞の応答は見られなかった。
学習後の動物では、2つのタイプの神経細胞応答が観察された:
発火頻度が増加する細胞(FR-ON細胞)
バースト発火率が増加する細胞(BF-ON細胞)
BF-ON細胞の応答は発火頻度の応答とは独立しており、感覚刺激表現とは別の情報を担っていた。
学習の後期段階では、BF応答のタイミングが早期化し、発火頻度応答と時間的に整列することで、発火頻度応答がより鋭敏化された。
この発火頻度応答の鋭敏化は行動精度と強く相関していた。
一方で、バースト発火率の増加は、学習の後期段階で検出エラーに対する遅延した応答として観察された。
以上より、バースト発火率の変化は、感覚表現の学習に関わる誤差信号と注意メカニズムに関わる鋭敏化信号を担うことが示された。
Stats
感覚刺激呈示後の発火頻度の変化は学習後の動物で有意に減少した。
感覚刺激呈示後のバースト発火率の変化は学習後の動物で有意に増加した。
検出エラー時のバースト発火率の変化は感覚刺激呈示後400ms遅れて有意に増加した。
Quotes
検出エラー時のバースト発火率の増加は、感覚刺激呈示後1.6秒遅れて観察された。
発火頻度応答の鋭敏化は、バースト発火率の早期化と時間的な整列に伴って生じた。