Core Concepts
GABAergic 軸索-軸索介在ニューロンは、大脳皮質、海馬、扁桃体などの広範な脳領域に分布しており、グルタミン酸作動性投射ニューロンの軸索初期部位を選択的に支配することで、神経回路の機能調節に重要な役割を果たしている。
Abstract
本研究では、GABAergic 軸索-軸索介在ニューロン (AACs) の発生系譜と分子マーカーを組み合わせた遺伝学的手法を確立し、マウス脳全体におけるAACs の分布と入力パターンを網羅的に解明した。
主な知見は以下の通り:
AACs は大脳皮質、海馬、扁桃体複合体、嗅覚中枢など、大脳新皮質由来の全ての領域に広く分布している。さらに、大脳基底核由来の淡蒼球や視床下部にも存在する。
大脳皮質のAACs は層特異的な分布パターンを示し、層2/3に最も密に分布する一方で、深層にも存在する。また、層間を横断する軸索を持つサブタイプも見られる。
海馬のAACs は、CA2領域に最も高密度に分布し、CA1、CA3に比べて3-4倍高い。
扁桃体や嗅覚中枢のAACs は、大脳皮質や海馬のAACs とは異なる多極性の形態を示す。
AACs への入力パターンは、大脳皮質の運動野、体性感覚野、聴覚野などで領域特異的な違いが見られる。運動野のAACs は運動関連領域からの入力が優位であるのに対し、体性感覚野のAACs は感覚関連領域からの入力が優位である。
以上より、本研究は AACs の脳全体における分布と入力パターンの網羅的な解明を通して、この特殊な GABAergic ニューロンタイプの機能的役割を理解する上で重要な知見を提供している。
Stats
AACs は大脳皮質の運動野で、運動関連領域からの入力が約50%を占める。
AACs は体性感覚野で、体性感覚関連領域からの入力が約63%を占める。
AACs は体性感覚野で、視床からの入力が約20%を占める。
海馬CA2領域のAACs密度は、CA1、CA3領域に比べて3-4倍高い。
Quotes
"AACs は大脳皮質、海馬、扁桃体複合体、嗅覚中枢など、大脳新皮質由来の全ての領域に広く分布している。"
"大脳皮質のAACs は層特異的な分布パターンを示し、層2/3に最も密に分布する一方で、深層にも存在する。"
"海馬のAACs は、CA2領域に最も高密度に分布し、CA1、CA3に比べて3-4倍高い。"