Core Concepts
高周波テラヘルツ刺激は、前帯状皮質のピラミッド神経細胞の活動を抑制することで、神経障害性疼痛を緩和する。
Abstract
本研究では、神経障害性疼痛(NP)に対する新しい治療法として、高周波テラヘルツ刺激(HFTS)の効果を検討した。
まず、分子動力学シミュレーションにより、HFTS(約36 THz)がカリウムチャネル(Kv)の構造を変化させ、カリウムイオン透過性を増大させることを示した。これにより、皮質神経細胞の活動電位発生が抑制された。
次に、SNIマウスの前帯状皮質(ACC)からの in vitro パッチクランプ記録により、HFTS がKv電流を増大させ、ピラミッド細胞の発火頻度を低下させることを確認した。さらに、in vivo マルチチャンネル記録でも、HFTS がACCのピラミッド細胞とインターニューロンの活動を抑制することを示した。
最後に、行動実験では、SNIマウスにおいてHFTSが機械的アロディニアを有意に改善したことから、HFTS がNPの症状を緩和することが明らかになった。
以上の結果から、HFTS はKvチャネルを標的とすることで、ACCのピラミッド細胞活動を抑制し、NP症状を改善する新しい治療法となる可能性が示された。
Stats
SNIマウスにおいて、HFTS適用後のピラミッド細胞の平均発火頻度は有意に減少した。
SNIマウスにおいて、HFTS適用後の機械的痛覚過敏閾値は有意に上昇した。
Quotes
「高周波テラヘルツ刺激は、カリウムチャネルの構造変化を介して、前帯状皮質のピラミッド細胞活動を抑制し、神経障害性疼痛を緩和する」
「HFTS は、Kvチャネルを標的とすることで、新しい神経障害性疼痛の治療法となる可能性がある」