Core Concepts
単一細胞シーケンシングを用いた化合物スクリーニングにより、ミューラー膠質細胞からのニューロン再生を促進する化合物を同定した。
Abstract
本研究では、ミューラー膠質細胞(MG)からのニューロン再生を促進する化合物を同定するために、単一細胞シーケンシング(sci-Plex)を用いた化合物スクリーニングを行った。
まず、Ascl1 遺伝子の発現によるMGのニューロン再プログラミングの時間的変化を解析した。Ascl1発現の持続時間が長いほど、MG由来のニューロン様細胞が増加することが分かった。また、Ascl1発現を停止してもニューロン様細胞の一部は維持されることが明らかになった。この過程で、Myt1などの転写因子がニューロン分化に重要な役割を果たすことが示唆された。
次に、92種類の化合物ライブラリーをスクリーニングした結果、ニューロン再生を促進する6つの化合物を同定した。その中でも特に、メトホルミンとDBZが in vivo でも有効であることが確認された。メトホルミンは細胞回収数を増加させ、DBZはNotchシグナル阻害によりニューロン分化を促進した。
以上の結果から、単一細胞シーケンシングを用いた化合物スクリーニングは、ミューラー膠質細胞からのニューロン再生を促進する新規の治療薬の発見に有効であることが示された。
Stats
ニューロン様細胞の割合はメトホルミン処理で75%まで増加した。
DBZ処理により、ニューロン様細胞の割合が有意に増加した(p=0.0009)。
Quotes
「単一細胞シーケンシングを用いた化合物スクリーニングは、ミューラー膠質細胞からのニューロン再生を促進する新規の治療薬の発見に有効である」