Core Concepts
TPRはオンコジーン誘導性老化の初期段階で、細胞質クロマチン断片の形成と、それに伴うNF-κBシグナル伝達の活性化を制御する。
Abstract
本研究では、オンコジーン誘導性老化(OIS)の初期段階におけるTPRの役割を明らかにしている。
OISの初期段階(3日目、5日目)では、TPRノックダウンにより、NF-κBの核内移行と活性化が低下する。これは、SASP遺伝子の発現上昇に先立つ現象である。
TPRノックダウンによりCCF(細胞質クロマチン断片)の形成が減少することが示された。CCFは核膜から膨れ出して形成され、細胞質のDNAセンサーcGAS-STINGを活性化し、NF-κBシグナルを誘導する。
TPRは核膜の構造維持に関与しており、TPRの欠失によりCCFの形成が抑制される。これにより、早期のNF-κB活性化が阻害され、その後のSASP遺伝子発現上昇が抑制される。
つまり、TPRはOISの初期段階で核膜の構造維持に関与し、CCF形成とそれに伴うNF-κB活性化を制御することで、SASP誘導に重要な役割を果たしている。
Stats
OIS誘導3日目のRAS細胞でTPRノックダウンすると、NF-κBの核内強度が有意に低下する。
OIS誘導5日目のRAS細胞でTPRノックダウンすると、リン酸化NF-κBおよびリン酸化IKKの発現が低下する。
OIS誘導5日目のRAS細胞でTPRノックダウンすると、細胞質クロマチン断片(CCF)の割合が有意に減少する。
Quotes
"TPRは核膜の構造維持に関与しており、TPRの欠失によりCCFの形成が抑制される。これにより、早期のNF-κB活性化が阻害され、その後のSASP遺伝子発現上昇が抑制される。"
"つまり、TPRはOISの初期段階で核膜の構造維持に関与し、CCF形成とそれに伴うNF-κB活性化を制御することで、SASP誘導に重要な役割を果たしている。"