Core Concepts
減数分裂期の受精卵において、カタニン、キネシン-13、アタキシン-2が、母体と父体の遺伝情報の早期な相互作用を抑制することで、正常な発生を可能にしている。
Abstract
本研究では、C. elegansの受精卵における母体と父体の遺伝情報の相互作用を制御するメカニズムについて明らかにした。
受精時、精子由来のDNAと細胞小器官は母体の細胞質から排除されており、母体の小胞体のみが精子由来の構造物を取り囲む。
この精子由来の構造物の移動は、微小管解重合酵素のカタニンとキネシン-13によって制限されている。
また、母体由来のアタキシン-2は、精子由来の細胞小器官の凝集性を維持することで、母体と父体の遺伝情報の早期な相互作用を防いでいる。
カタニンとキネシン-13の二重欠損により、精子由来のDNAが母体の減数分裂紡錘体に取り込まれる事例が観察された。
以上の結果から、精子由来の構造物の移動の制限と、その凝集性の維持が、母体と父体の遺伝情報の早期な相互作用を防ぐ上で重要であることが示された。
Stats
受精卵の長軸方向の最大移動距離は、mei-1(RNAi)で増加した。
受精卵の短軸方向の最大移動距離は、mei-1(RNAi)とklp-7(RNAi)で増加した。
atx-2(AID+auxin)klp-7(RNAi)の受精卵では、5/24例で精子由来のDNAが減数分裂紡錘体に取り込まれた。
Quotes
精子由来のDNAが減数分裂紡錘体に取り込まれると、細胞周期の停止が観察された。
母体由来のBAF-1タンパク質は、減数分裂期の後期に精子由来のDNAに結合することから、小胞体の膜が精子由来のDNAを完全に覆っているわけではないことが示唆された。